AI開発事例100選【17業種】何を作り、どんな成果が出たかを公表資料で整理

AI開発事例100選|17業種・109件を、作ったものと成果で整理
  • URLをコピーしました!

「自分の会社と同じ業種では、どんなAIが作られているのだろう」「実際にどのくらい効果が出ているのか」。AIの開発を考え始めたとき、多くの方が最初に知りたいのは、身近な具体例です。

AI開発事例とは、会社や自治体が自分たちの課題に合わせてAIの仕組みを作り、仕事に組み込んだ例のことです。この記事では、会社・団体の発表や官公庁の資料で確かめられた109件を、17の業種に分けて紹介します。数えてみると、いちばん多いのは生成AIの事例(42件)でしたが、本番で使われている割合は、画像認識や予測の事例のほうが高くなっていました。

この記事で分かることは、次の4つです。

  • 製造・建設・医療・金融・小売・自治体・中小企業など、17業種のAI開発の具体例
  • 事例を読むときの物差しになる「AI開発の6つの型」
  • 109件を数えて分かった共通点と、自社で検討するときの判断基準
  • 費用・期間・データの量など、事例を読んだ後に出てくる疑問への答え

事例の内容と数値は、2026年9月時点で公表資料を確かめたものです。各事例には、元の発表ページへのリンクを付けています。

目次

AI開発事例とは?活用事例との違いと、開発の6つの型

事例を読む前に、「開発事例」が何を指すのかと、AIの種類の見分け方をそろえておきます。ここをそろえると、業種が違う事例でも、自社に当てはめて読めるようになります。

AI開発事例とは:自社の課題に合わせてAIの仕組みを作った例

AI開発事例の定義

この記事でいうAI開発事例は、会社・自治体・病院などが、自分たちの課題に合わせてAIの仕組みを作った例です。AI開発そのものの意味や、外注と内製の選び方は、AI開発とはで整理しています。

作り方には、次のような形があります。

  • 自社の技術者が作る(自社開発)
  • 大学やIT企業と一緒に作る(共同開発)
  • 外部の会社に頼んで作ってもらう(委託開発)
  • 市販のAIを、自社のデータや社内のシステムとつないで、自社用の仕組みにする

どの形でも、「自社の課題に合わせて作った」ことが共通しています。

「活用事例」「導入事例」との違い

似た言葉に「AI活用事例」「AI導入事例」があります。決まった定義はありませんが、この記事では次のように分けています。

スクロールできます
種類したこと例よい点注意点向いている読み手
AI開発事例自社の課題に合わせて、AIの仕組みを作った自社の検査画像で学ばせた、不良品を見分けるAI自社の業務にぴったり合わせられるデータの準備と、費用・期間がかかる何を作れば効果が出るかを知りたい人
AI導入事例できあがったAIサービスを選び、業務に入れた会議の文字起こしサービスを契約して使うすぐに始められ、費用の見通しが立ちやすい自社の業務に合わない部分が残ることがあるどのサービスを選ぶかを知りたい人
AI活用事例AIを使った例の全般(開発・導入・個人の使い方を含む)生成AIで資料の下書きを作る範囲が広く、アイデアを集めやすい自社で同じことができるとは限らないAIで何ができるかを広く知りたい人

この記事では、市販のサービスを契約しただけの例は入れていません。「何を作ったのか」が分かる例だけを集めています。

市販のサービスを使っている例も含めて、身近な例や業務別に集めた事例は、AI活用事例76選にまとめています。

AI開発の6つの型

AIの種類は細かく分けると数えきれませんが、事例を読むときは、次の6つの型で見分けると整理しやすくなります。

スクロールできます
型できること使うデータの例向いている業務この記事の件数事例の例
画像認識写真や動画から、物・傷・状態を見分ける製品の写真、点検の画像、医療の画像検査、点検、見張り23件No.1・No.33・No.37
予測過去の数字から、先の数字や異常の前ぶれを見積もる売上、天気、センサーの値、取引の記録発注、需要の予測、故障の予知、不正の発見31件No.4・No.52・No.63
言葉を扱うAI文章を読み取り、照らし合わせたり答えたりする(自然言語処理)図面の文字、問い合わせの文書類の照合、よくある質問への回答2件No.7・No.108
音声声や音を聞き取り、文字にしたり判断したりする通話の音声、作業の音電話の対応、音での検査3件No.2・No.36・No.75
最適化たくさんの組み合わせから、いちばんよい計画を探す条件の一覧、過去の計画配送ルート、生産計画、保育所の入所選考7件No.6・No.29・No.100
生成AI文章や画像を新しく作る。資料を読ませて答えさせることもできる社内の資料、規則集、記録問い合わせの下書き、要約、書類づくり42件No.54・No.61・No.95

この記事では、事例のカードの上の線の色で、AIの型を分けています。

  • 画像認識
  • 予測
  • 言葉を扱うAI
  • 音声
  • 最適化
  • 生成AI

型は、公表資料をもとに筆者が分類しました。方式が公表されておらず分類できなかった事例が1件(No.10)あります。

「生成AI」の中でも、社内の規則集やマニュアルを読み込ませて、その内容をもとに答えさせる仕組みを「RAG(ラグ)」と呼びます。日本語では「検索拡張生成」といいます。この記事では、金融や自治体の事例(No.54・No.56・No.57・No.93・No.95など)がこの形です。

この記事の事例の選び方と読み方

選んだ基準

事例は、次の基準で選びました。

  • 会社・団体自身の発表、または官公庁の資料で、内容を確かめられたもの
  • 「何を作ったのか」が分かるもの
  • 市販のAIサービスを契約して配っただけの例は入れない
  • 内容は2026年9月時点で確認したもの

成果の数値は、それぞれの会社・団体が公表した値です。データの量や業務の条件はそれぞれ違うため、同じ数値が他の会社でも出るとは限りません。

事例の読み方と、業種別の件数

1件ごとに、次の5つの項目と「ここがポイント」をそろえて書いています。気になる業種の事例から、項目の見出しを拾い読みするだけでも、全体をつかめるようにしました。

  • 困っていたこと:AIを作る前に、何に困っていたか
  • 作ったもの:どんなデータを使い、何をするAIを作ったか
  • AIの種類:6つの型のどれに当たるかと、自社で作ったか・外部と一緒に作ったか
  • 成果:公表された効果。大事な数字は太字にしています。数値が公表されていない場合は、そう書いています
  • 公表ページ:どこが、いつ発表したか。元の発表ページへのリンクを付けています

最後の「ここがポイント」には、その事例を自社に当てはめて考えるときの見方を、筆者が1〜2文でまとめています。

業種別の件数と、多かった型は次のとおりです。

業種件数多かった型
製造業14件生成AI
建設・インフラ8件画像認識
エネルギー・電力5件予測
物流・運輸・交通9件予測
医療9件画像認識
介護・福祉5件予測・生成AI
金融(銀行・証券)8件生成AI
保険4件生成AI
小売・EC8件予測
飲食5件予測
観光・宿泊4件生成AI
不動産3件生成AI
メディア・通信・IT4件生成AI
農業・水産6件画像認識
自治体・行政8件生成AI
教育3件生成AI
中小企業・小規模事業者6件生成AI・予測
合計109件生成AI

業種別のAI開発事例① 製造・建設・エネルギー・物流の36件

ものづくりや現場の仕事では、検査・点検・予測・計画づくりにAIが作られています。熟練者の知恵をAIに移す例が多いのも、この分野の特徴です。

製造業のAI開発事例(14件)

製造業では、不良品を見分ける検査、故障の前ぶれの発見、生産計画づくり、熟練者の技の受け継ぎにAIが作られています。社内の資料や図面を生成AIに読ませる例も増えています。

No.1 ダイハツメタル:似た部品が混ざっていないかを、出荷のときの画像で見分けるAI

  • 困っていたこと自動車部品を出荷するときに、人のうっかりミスで、似た別の部品が混ざってしまうことがありました。
  • 作ったもの出荷する製品の画像から、似た部品が混ざっていないかを判定するAIの仕組みです。県の産業技術センターが、画像認識の方法と、判定の理由を見えるようにする方法で支えました。
  • AIの種類画像認識
  • 成果出荷のときの検査を自動にし、混ざった製品を出荷した件数が0件になったと公表しています。
  • 公表ページ島根県産業技術センターの技術支援の事例紹介(2023年10月)

ここがポイント「似た物の取り違え」は、画像認識が向いている代表的な課題です。県の公的な研究機関の支援を受けて作った点も、地方の工場には参考になります。

No.2 本田技研工業:配線部品の「はめ込み不良」を、音で見分けるAI

  • 困っていたこと配線の部品がしっかりはまっているかを、作業者が音や手応えで確かめていて、負担が大きく、品質を保つうえでの課題になっていました。
  • 作ったものはめ込むときの音を拾い、はまりきっていない状態をその場で見つけるAIです。1,000回を超える作業のデータで試し、3か月の試験運用を経て入れました。
  • AIの種類音声(AI企業ブレインズテクノロジーの仕組みを調整して導入)
  • 成果数値の公表はありません。音が鳴りにくい作業での不良も見つけられるようになり、作業のくせの見直しにもつながったとしています。
  • 公表ページブレインズテクノロジーの導入事例ページ(2026年6月)

ここがポイント目ではなく「音」を手がかりにした例です。人が耳や手の感覚で確かめている作業は、音やふるえのデータでAIに任せられる場合があります。

No.3 トヨタ自動車:1日に数万の歯を目で見ていた歯車の検査を、AIで自動に

  • 困っていたこと変速機の歯車の検査で、1人が1日に数万の歯の面を目で確かめていて、負担がとても大きくなっていました。
  • 作ったもの部品メーカーの武蔵精密工業のグループ会社が作ったAIの外観検査装置を、生産ラインに入れました。のちにアルミのケースの検査にも広げています。
  • AIの種類画像認識(委託開発)
  • 成果AIの外観検査装置を合わせて8台入れたと公表しています(検査の時間などの数値は公表されていません)。2020年12月から量産で動いています。
  • 公表ページ武蔵精密工業の発表(2022年12月)

ここがポイント人が長い時間見続ける検査は、見落としと体の負担の両方が起きやすい仕事です。部品メーカーが作った装置を、自社の生産ラインに合わせて入れています。

No.4 東洋紡:製造ラインの数値の小さな変化から、故障の前ぶれをつかむAI

  • 困っていたこと数値が正常な範囲を外れてから対応していたため、思わぬラインの停止や不良品につながっていました。
  • 作ったものJR西日本が鉄道の設備のために作った故障予測のAIと、東洋紡の異常を見つける技術を組み合わせ、ラインの数値のばらつきを前ぶれの段階で見つけ、原因の候補まで示すシステムです。
  • AIの種類予測(共同開発)
  • 成果フィルム工場で、AIが見つけた8件の異常に前もって対応し、10時間以上の復旧作業を減らせたと公表しています。
  • 公表ページ東洋紡の発表(2025年9月)

ここがポイント鉄道の設備のために作られたAIを、工場のラインに応用した例です。業種が違っても、同じ型のAIが使えることがあります。

No.5 JFEスチール:原料を運ぶベルトの傷や片寄りを、カメラの画像で見張るAI

  • 困っていたこと製鉄所で原料を運ぶベルトコンベアにトラブルが起きると、操業に大きな影響が出るため、いつも見張っておく必要がありました。
  • 作ったものベルトコンベアに付けたカメラの画像から、ベルトの傷や端のずれを自動で見つけるAIなどを使った監視システムです。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。長いもので2kmあるベルトの全体を、休まず見張れるようになったとしています。千葉と倉敷の製鉄所で使っています。
  • 公表ページJFEスチールの発表(2024年1月)

ここがポイント長い設備を人が見回るかわりに、カメラとAIで休まず見張る例です。大きな設備を持つ現場で応用しやすい考え方です。

No.6 日本触媒:ベテランの知恵を移した、生産計画を作るAI

  • 困っていたこと紙おむつなどに使う樹脂は品種が多く、切り替えの回数を抑えながら在庫をちょうどよく保つ計画づくりに大きな手間がかかり、ベテランだけができる仕事になっていました。
  • 作ったものベテランの経験や複雑な運用の決まりを取り込み、生産計画をいちばんよい形に整える仕組みです。
  • AIの種類最適化(AI企業ALGO ARTISが開発)
  • 成果品種の切り替え回数が4分の3から3分の2ほどに減ったと公表しています(ほかの要因もあり、すべてがシステムの効果とは言えないとの注記つき)。3か月先まで見通せるようになったとしています。
  • 公表ページALGO ARTISの導入事例ページ(2023年2月時点の情報)

ここがポイントベテランの頭の中にある決まりをAIに移すと、計画づくりを1人に頼らずに済みます。効果の数字に「ほかの要因もある」と注記している点も、誠実な公表の例です。

No.7 パナソニック コネクト:図面と仕様書の食い違いをAIが照らし合わせ、作業を最大97%短縮

  • 困っていたこと製品の図面、部品の図面、仕様書の書いてあることが合っているかを、人が目で見て照らし合わせていて、時間がかかり、見落としの心配もありました。
  • 作ったものいくつものPDFの図面から文字を取り出し、材質や仕上げなどの項目を自動で照らし合わせて一覧にするAIエージェントを、社内で作りました。
  • AIの種類言葉を扱うAI(自社開発)
  • 成果目で見て50〜340分かかっていた照合が10分になった(80〜97%の削減)と公表しています。
  • 公表ページパナソニック コネクトの発表(2026年2月)

ここがポイント書類どうしを照らし合わせる仕事は、AIで時間を大きく減らしやすい作業です。外部に頼まず、社内で作った点も特徴です。

No.8 BEMAC(愛媛の船舶機器メーカー):過去の図面をすばやく探す生成AI

  • 困っていたこと新しい設計図を作る仕事のうち、過去の図面を探す作業が時間の大部分を占めていました。
  • 作ったもの生成AIを使って、過去の図面を早く正確に探せる検索の仕組みを、自社に合わせて作りました。
  • AIの種類生成AI(IT企業KK Generationと共同開発)
  • 成果設計図を作る時間が約7割減り、人手も約2割少なくできたと公表しています。
  • 公表ページKK Generationの発表(2025年1月)

ここがポイント「過去の資料を探す時間」を減らすのは、生成AIの使い道として取り組みやすいテーマです。

No.9 中島合金(茨城の鋳物メーカー):職人の「さじ加減」を数字で示すAI

  • 困っていたこと銅を溶かして形にする工程で、材料に加える薬の量の判断が、特定のベテランだけに頼っていて、その人が休むと工程全体に影響が出ていました。
  • 作ったもの製造業向けのAIの仕組みに自社の知恵を学ばせ、条件を入れると加える量のちょうどよい値を、理由とともに示す仕組みです。開発のための試験の段階から加わりました。
  • AIの種類予測(三菱総研DCSと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。ベテラン以外もこの作業を代われるようになり、ベテランが休みを取りやすくなったとしています。
  • 公表ページ三菱総研DCSの導入事例ページ(2024年6月の取材)

ここがポイント職人の勘を数字で示すと、ほかの人も同じ判断ができるようになります。開発会社の試験に参加しながら作った点は、中小企業の進め方として参考になります。

No.10 タヤマスタジオ(岩手・従業員8名):南部鉄器の名工の考え方をAIにし、若手が学ぶ

  • 困っていたこと南部鉄器づくりは職人の感覚に頼る部分が多く、若手が一人前になるまで10年ほどかかっていました。ベテランが教えるほど、製造に使える時間が減ることも悩みでした。
  • 作ったもの名工への聞き取りをもとに、鋳造の基本や不良が起きる仕組みをAIに学ばせ、若手が基礎をAIから自分で学べるようにしました。
  • AIの種類方式は公表されていません(岩手大学との共同研究。市の補助金で実証)
  • 成果数値の公表はありません。職人どうしの会話の質が上がり、ベテランが教える時間が減るといった効果が見え始めているとしています。
  • 公表ページ中小企業庁「2025年版 中小企業白書」の事例(2025年)

ここがポイント8人の会社でも、大学との共同研究と市の補助金を組み合わせて、AIづくりに取り組んでいます。職人を置きかえるのではなく、若手が学ぶ道具にしている点が特徴です。

No.11 三井化学:ボイラーを動かし始める難しい操作を、AIがベテラン並みに案内

  • 困っていたことボイラーを動かし始めるときのように温度や圧力が大きく変わる操作は難しく、経験を積む機会も少ないため、運転員の育成が課題でした。
  • 作ったもの工場をコンピューターの中に再現し、そこで操作の仕方を学んだAIが、実際の操作を案内する仕組みです。
  • AIの種類最適化(NECや産業技術総合研究所などと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。AIの案内で、ベテランと同じような操作ができ、安全に効率よく動かし始められることを確かめたとしています(実証の段階)。
  • 公表ページ三井化学などの発表(2024年12月)

ここがポイントコンピューターの中に再現した工場で、操作を練習させたAIです。実物では試しにくい、危険をともなう操作に向いた作り方です。

No.12 旭化成:材料の新しい使い道を、AIで探す

  • 困っていたこと材料の新しい使い道を見つける仕事は、専門知識を持つ社員の調べ物と分析に頼っていました。
  • 作ったもの大量の論文などから使い道を自動で抜き出すAIと、その中から有望な候補を絞り込む生成AIを、社内の専門の人材と事業部門で一緒に作りました。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果6,000を超える使い道の候補を考え出し、ある材料では候補をふるい分ける時間が従来の約40%になったと公表しています。
  • 公表ページ旭化成の発表(2024年12月)

ここがポイント論文を読んで候補を探すという「調べる仕事」を、AIが大きく支えています。研究開発の部門でも生成AIが使えることを示す例です。

No.13 ライオン:研究の知見を探せる検索AIと、社内のデータで学ばせた自社のAI

  • 困っていたことベテランの技術者の退職で、言葉にしにくい知恵が失われつつあり、一般向けのAIでは専門的な質問に答えられませんでした。
  • 作ったもの研究の報告書などを探せる生成AIの検索ツールを入れ、さらに数十年分の社内の知見で学ばせた自社の大規模言語モデルの開発にも取りかかりました。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果検索ツールで、情報を探す時間が5分の1以下になったと公表しています。自社の言語モデルは開発中です。
  • 公表ページライオンの発表(2025年10月)

ここがポイントベテランが辞めると失われる知恵を、社内のデータで学ばせたAIに残そうとする例です。まず検索ツールで成果を出し、次に自社のAIづくりへ進む順番も参考になります。

No.14 ダイキン工業:設備の図面と保全の記録から、故障の原因と対策を答えるAI

  • 困っていたこと海外の工場で設備の保全の技術者が足りず、修理に時間がかかったり、品質がばらついたりしていました。記録はたまっていても、使いこなせていませんでした。
  • 作ったもの設備の図面を生成AIが読める形に変え、保全の記録と故障の原因を調べる手順を組み合わせて、点検中の技術者に原因と対策を示すAIエージェントを作りました。
  • AIの種類生成AI(日立製作所と共同開発)
  • 成果事前の実証で、10秒以内に90%以上の精度で原因と対策を答えられたと公表しています。2025年4月から工場で試験運用を始めています。
  • 公表ページダイキン工業と日立製作所の発表(2025年4月)

ここがポイント図面や保全の記録など、社内にたまっている資料を、生成AIが読める形に整えた点がカギです。数字は事前の実証での結果です。

建設・インフラのAI開発事例(8件)

橋や道路の点検に画像認識を使う例が多く、県や国が自ら作った例もあります。

No.15 鹿島建設と青森県:橋の傷みの写真から、健全さの診断を支えるAI

  • 困っていたこと点検の技術者が減り、経験や技術の差もあって、橋の維持管理の力が落ちるおそれがありました。
  • 作ったもの2006年から青森県と一緒に使ってきた橋の管理の仕組みにたまった点検データを使い、傷んだ場所の写真をAIが見分けて、傷みの範囲や程度、橋の健全さの診断を支えるWebシステムを作りました。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。技術者による差の少ない、より正確な診断ができるとしています。青森県の橋の定期点検で使っています。
  • 公表ページ鹿島建設の発表(2025年11月)

ここがポイント県と建設会社が長年ためてきた点検の記録が、AIの材料になっています。自治体と企業が組む形の例です。

No.16 山口県:小さな橋の点検を、AIの診断と調書の自動作成で効率化

  • 困っていたこと県が管理する道路の橋の約6割が長さ10m以下の小さな橋で、調書づくりや診断に大きな時間と手間がかかり、診断の精度にもばらつきがありました。
  • 作ったもの県の橋の傷みの画像で、コンクリートのはがれやひび割れなどを評価するAIを独自に作り、タブレットでの3D計測、点検調書の自動作成と組み合わせました。県内の市町にも提供しています。
  • AIの種類画像認識(産学官の共同開発)
  • 成果総作業時間が約2割減ったと公表しています。国土交通省のインフラメンテナンス大賞で優秀賞を受けました。
  • 公表ページ山口県の資料(2024年6月)

ここがポイント県が自分たちでAIを作り、県内の市や町にも提供している例です。小さな橋が多い地方ほど、同じ悩みを抱えています。

No.17 インフロニアと燈:スマホで撮った道路の動画から、ひび割れや穴をすぐに見つけるAI

  • 困っていたこと目で見る点検は人によって結果がばらつき、これまでのAIは大量の学習データが必要で、学んだ種類の異常しか見つけられませんでした。
  • 作ったもの車に付けたスマートフォンで走りながら道路を撮り、いくつかのAIの技術を組み合わせて、舗装のひび割れや穴、ガードレールの変形、落下物などを見つける仕組みです。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。実証を進め、2025年夏を目標に自治体への提供を本格化するとしていました。
  • 公表ページインフロニア・ホールディングスの発表(2025年2月)

ここがポイント特別な機材ではなく、スマートフォンで撮った動画を使う点が特徴です。学ばせたことのない種類の異常も見つけられるように工夫しています。

No.18 NEXCO中日本:工事区間に入ってくる車をAIが見つけ、作業員に知らせる

  • 困っていたこと高速道路の工事区間に、スマートフォンを見ながらの運転などで車が入り込む事故が増えていて、作業員が亡くなる事故も起きていました。
  • 作ったもの作業用の車などに置いた小さなカメラの映像から、工事区間に入ってくる車をAIが見つけ、すぐに作業員に知らせるシステムです。
  • AIの種類画像認識(グループで開発)
  • 成果最大で約250m手前から見つけられると公表しています(道路の形や天気で変わります)。事故を減らした効果の数値は公表されていません。
  • 公表ページNEXCO中日本の発表(2026年5月)

ここがポイント工事区間への車の進入を早く見つけて知らせ、作業員の安全を守るための仕組みです。人の命にかかわる見張りにAIを使った例です。

No.19 清水建設:現場のカメラの映像から工事の進み具合をAIが判定し、工程の見直しにつなげる

  • 困っていたこと毎日の進み具合の管理や、写真の記録、報告書づくりに時間がかかっていました。情報が別々のシステムに分かれ、予定が変わるたびに担当者が手で直していました。
  • 作ったもの現場のカメラの映像を独自のAIで調べ、杭の工事がどの段階まで進んだかを推定してデータにし、工程を管理するソフトなどとつないで、工程の見直しの一部を自動にする仕組みです。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。実証で有効性を確かめたとしています。
  • 公表ページ清水建設の発表(2026年5月)

ここがポイント毎日の進み具合の確認や写真の整理など、手間のかかる記録の仕事をAIに任せようとする例です。

No.20 国土交通省:工事の図面・数量の表・仕様書の食い違いを、AIエージェントで見つける(開発中)

  • 困っていたこと工事を発注するときの図面・数量の表・仕様書は別々の形で作られるため、直し忘れによる食い違いが起き、その対応が大きな負担になっていました。
  • 作ったもの図面を読めるAIと文章を扱うAIを組み合わせ、PDFの図面、Excelの表、Wordの仕様書を横断して読み、食い違いを見つけるAIエージェントです。最後の判断は人が行う作りです。
  • AIの種類生成AI(AI企業のPreferred Networksなどへ委託)
  • 成果数値の公表はありません。2027年3月の完了に向けて、段階的に確かめていくとしています。
  • 公表ページ開発を受けたPreferred Networksの発表(2026年9月)

ここがポイント国が工事を発注する立場で、自らAIを使う側に立った例です。最後の判断は人が行う作りにしている点に注目です。

No.21 北野建設(長野):社内の資料を読み込ませた生成AIで、技術の調べものと週報づくりを楽に

  • 困っていたこと人手不足と高齢化のなかで、仕事の効率を上げ、技術を受け継ぐことが急がれていました。
  • 作ったもの国の公開資料と社内の資料を、文字・図・表に分けて整理し、生成AIに読み込ませて、技術や工法、決まり、ヒヤリハットの例を調べられるようにしました。週報の一部も自動で作ります。
  • AIの種類生成AI(日立ソリューションズと共同での検証)
  • 成果数値の公表はありません。実際の仕事で答えの精度を確かめ、全社で使うことも考えているとしています。
  • 公表ページ日立ソリューションズの発表(2024年12月)

ここがポイント地方の建設会社が、国の公開資料と社内の資料を生成AIに読ませた例です。技術の受け継ぎにも役立てようとしています。

No.22 大成建設:過去20の現場のデータを学んだAIが、トンネルを掘る機械を自動で運転

  • 困っていたこと働く人が減るなかで、ベテランの運転手に頼らずに安定して掘り進め、仕上がりをそろえる技術が求められていました。
  • 作ったもの過去20の現場・約3万3,000mの工事のデータを学ばせたAIが、トンネルを掘る機械(シールドマシン)の押す力の配分を自動で決め、掘り進めながら学び直す仕組みです。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果国の工事での実証で、決めておいた誤差の範囲の中で安定して掘り進められたと公表しています。
  • 公表ページ大成建設の発表(2026年7月)

ここがポイント過去の現場のデータの量が、そのままAIの力になる例です。ベテランの運転の技を、データで引き継ぐ形になっています。

エネルギー・電力のAI開発事例(5件)

電気や熱の需要の予測と、発電設備の異常の前ぶれを見つけるAIが中心です。

No.23 東京電力エナジーパートナー:電気と熱の需要を30分ごとに予測し、設備の運転計画をAIが作る

  • 困っていたこと熱と電気を一緒に作る設備の運転はとても複雑で、運転員の経験に頼っていました。運転員の人手不足も課題でした。
  • 作ったもの需要を予測するAI、機器の動きを再現するAI、運転の計画を立てるAIの3つを載せた仕組みです。電気と熱の需要を30分ごとに予測し、30時間先までの運転計画を立てます。
  • AIの種類予測(共同開発)
  • 成果実際の施設をもとにした試算で、エネルギーの消費を約13%、二酸化炭素の排出を約21%減らせることを確かめたと公表しています。
  • 公表ページ東京電力エナジーパートナーの発表(2023年10月)

ここがポイント複数のAIを組み合わせて、予測から計画づくりまでをつないだ例です。数字は実際の施設をもとにした試算です。

No.24 中国電力:発電所の見回りをロボットとAIで行い、異常の前ぶれを知らせる(島根県の三隅発電所)

  • 困っていたこと火力発電所の毎日の見回りに多くの時間と人手がかかっていました。人材の確保や、設備が古くなることも課題でした。
  • 作ったもの自分で動くロボットと、据え付けのカメラやセンサーで、計器や温度、漏れ、振動のデータを集め、画像をAIで数字にしたうえで、トラブルの前ぶれを見つけるAIが運転員に知らせる仕組みです。
  • AIの種類予測(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2026年7月から実証を始め、2027年度の本格運用をめざすとしています。
  • 公表ページ中国電力とNTTドコモビジネスの発表(2026年7月)

ここがポイントロボットで集めた画像をAIで数字にしてから、異常の前ぶれを探す二段構えです。見回りのように毎日くり返す仕事が対象になっています。

No.25 J-POWER:水力発電所の設備の異常の兆しを見つける、自社開発のAI

  • 困っていたこと水力発電所の保守の仕事を省力化し、設備のトラブルを前もって防ぐ必要がありました。
  • 作ったもの各地の水力発電所の発電機などに付けたセンサーのデータを集め、独自に作ったAIで異常の兆しを見つけて保守員に知らせる仕組みです。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。1つの発電所での実証の成果を、全国の水力発電所に広げているとしています。
  • 公表ページ電源開発の発表(2024年5月)

ここがポイント1つの発電所で試した成果を、全国の発電所に広げている例です。小さく試してから広げる進め方の見本です。

No.26 エナリス:太陽光の発電量の予測のずれを生成AIが分析し、人の評価で精度を上げる

  • 困っていたこと生成AIには、もっともらしい誤りや、理由が分かりにくいという課題があり、エネルギーの分野で使うには解決が必要でした。
  • 作ったもの実際に使っている太陽光の発電量の予測と実績のずれについて、生成AIが原因と対策を考え、別の生成AIがその妥当性を評価し、最後に人が判断してAIに返す仕組みです。
  • AIの種類生成AI(KDDIグループと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2025年5月から実証しています。
  • 公表ページエナリスの発表(2025年6月)

ここがポイント生成AIの答えをそのまま使わず、別のAIの評価と人の判断を重ねています。まちがいが許されない分野での使い方の例です。

No.27 東京電力リニューアブルパワー:ダムを管理するベテランの判断の知恵を、生成AIで見える形に

  • 困っていたことダムの管理では、雨の量や川の水の量などを見ながら、決まりに沿って素早く判断する必要があり、マニュアルだけでなく経験の知恵が欠かせませんでした。
  • 作ったもの栃木県のダムの管理の仕事で、ベテランがためてきた判断の知恵を生成AIで見える形にし、現場の素早い判断を支える仕組みです。
  • AIの種類生成AI(国の実証事業の一つとして共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2026年5月から実証を始めています。
  • 公表ページ東京電力ホールディングスと東京電力リニューアブルパワーの発表(2026年5月)

ここがポイント経験がものを言う判断の知恵を、生成AIで残そうとする例です。ダムに限らず、ベテランの判断に頼る仕事に通じるテーマです。

物流・運輸・交通のAI開発事例(9件)

配送や配船の計画づくり、荷物の量の予測、鉄道や高速道路の点検にAIが作られています。

No.28 佐川急便など5者:電気の使い方から在宅かを予測し、留守の家を避ける配送ルートを示す

  • 困っていたこと荷物を届けに行っても留守で持ち帰る「不在配送」が課題でした。
  • 作ったもの家の電気の使い方のデータからAIが在宅かどうかを予測し、留守の家を避けた配送ルートを示すシステムです。
  • AIの種類予測(大学・企業・市との共同開発)
  • 成果横須賀市の150世帯の協力による実証で、不在配送が約20%減ったと公表しています。一方で、走る距離と時間は増える傾向でした。2021年の事例です。
  • 公表ページSGホールディングス(佐川急便)の発表(2021年3月)

ここがポイント電気の使い方という、配送とは別のデータを使った発想が特徴です。留守が減った一方で走る距離は増えたという結果も公表されており、効果をいくつもの面から見る大切さが分かります。

No.29 日本郵船:100隻を超える自動車の運搬船の配船計画を、AIが約10分で組み立てる

  • 困っていたこと数か月先までの数百の航海について、たくさんの条件を考えて作る配船の計画が、とても複雑で担当者頼みになっていました。
  • 作ったものお客さまの要望、船の予定、港での待ち時間の危険などを考えて、最大数百万通りの組み合わせを試算し、船の使い方がいちばんよくなる計画を作るAIのシステムです。
  • AIの種類最適化(共同開発)
  • 成果最大数百万通りの試算を10分ほどで行えると公表しています。2025年7月から本格的に使っています。
  • 公表ページ日本郵船などの発表(2025年9月)

ここがポイント人が組み立てると時間のかかる複雑な計画は、最適化のAIが得意とする分野です。

No.30 ヤマト運輸とアルフレッサ:医薬品の配送の量をAIで予測し、配車の計画を自動で作る

  • 困っていたこと物流の人手不足、医療機関での受け渡しの手間、配送の車の二酸化炭素など、医薬品の流通を続けるための課題がありました。
  • 作ったもの医薬品の卸の会社がためてきた販売や物流のデータから、届け先ごとの配送の量をAIで予測する仕組みと、その結果とヤマト運輸の配車の知恵を組み合わせて配車の計画を自動で作る仕組みです。
  • AIの種類予測(共同開発)
  • 成果両社の見込みとして、配送の効率が最大20%上がり、走る距離と二酸化炭素が最大25%減るとしています。2021年の事例です。
  • 公表ページヤマトホールディングスの発表(2021年8月)

ここがポイント荷主と運送会社がデータを持ち寄って作った例です。数字は両社の見込みです。

No.31 NXグループ:お客さまの販売データと自社の物流の実績から物量を予測し、人の配置に生かす

  • 困っていたこと流行の移り変わりが早く、需要を読みにくい小売業などの物流で、作業を効率化する必要がありました。
  • 作ったもの荷主の販売の計画や実績、イベントの情報と、自社の物流の実績を組み合わせて、AIで需要を予測し、出荷や人の手配、作業の計画に使う仕組みです。
  • AIの種類予測
  • 成果数値の公表はありません。実証の段階です。
  • 公表ページNIPPON EXPRESSホールディングスの発表(2024年10月)

ここがポイント自社のデータだけでなく、お客さまのデータも合わせると、予測の材料が増えます。

No.32 三井倉庫:スマホで撮るだけで、バーコードのない商品の出荷の検品を生成AIが判定

  • 困っていたことバーコードのない商品の出荷の検品は、熟練者の目に頼るしかなく、間違った出荷の危険や作業者の負担が課題でした。
  • 作ったものスマートフォンで出荷のリストと商品を撮ると、生成AIが画像を読み取って、正しいかどうかを判定するアプリです。事前に商品の情報を登録する必要がありません。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果2人で行っていた検品を1人にでき、二重の確認の手間が減ったと公表しています。2026年7月から使い始めています。
  • 公表ページ三井倉庫ホールディングスの発表(2026年7月)

ここがポイント事前に商品の情報を登録しなくても使える点が特徴です。生成AIが画像を読み取れるようになり、こうした使い方ができるようになっています。

No.33 NEXCO西日本:高速道路の橋などの写真から、ひび割れを自動で見つける自社開発のAI

  • 困っていたこと管理する高速道路の約5割が開通から30年を超え、点検の対象が増えるなかで、今の人数で同じように点検を続けることに限界がありました。
  • 作ったものひび割れの画像1万枚と、その他の傷みの画像3万枚を集め、グループの点検の専門家が傷みの場所を示してAIに学ばせ、高解像度のカメラの画像からひび割れなどを自動で見つける仕組みです。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果ひび割れを見つける率と、見つけたものが正しい率が、どちらも95%と公表しています。2021年の事例です。
  • 公表ページNEXCO西日本の発表(2021年4月)

ここがポイントグループの点検の専門家が、AIに学ばせる画像の傷みの場所を示した点が特徴です。2021年と少し前の事例です。

No.34 鉄道総合技術研究所:走っている列車から、パンタグラフや架線の異常をAIで見つける

  • 困っていたことパンタグラフの異常や、架線に絡まったビニールシートなどの上を列車が走ると、設備や車両が壊れ、大きな運休につながることがありました。
  • 作ったもの屋根の上と運転台のカメラで、走行中のパンタグラフと架線を見張り、AIで異常や飛んできた物を見つけて警報を出し、パンタグラフを自動で下げる仕組みです。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果部品の脱落を1秒以内に、ビニールシートなどを約40m手前で見つけ、見つけてから3秒以内にパンタグラフを下げられると公表しています。実用化に向けて改良中です。
  • 公表ページ鉄道総合技術研究所の発表(2026年3月)

ここがポイント異常を見つけるだけでなく、パンタグラフを下げるという次の動作まで自動で行う例です。

No.35 JR西日本:機械学習で主要な路線の需要を予測し、臨時列車を出すかの判断に生かす

  • 困っていたこと需要の動きをつかみ、輸送の計画や列車の設定の仕事を高度にする必要がありました。
  • 作ったものこれまでの仕事の知恵とAIのデータ分析を組み合わせ、機械学習で幹線(主要な路線)の需要を予測する方法を作り、臨時列車を出すかの判断に使えるかを評価しました。
  • AIの種類予測(TRAILBLAZERと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。成果は学会で論文として発表し、実務で使うための検証を進めているとしています。
  • 公表ページJR西日本とTRAILBLAZERの発表(2026年9月)

ここがポイント予測の結果を、臨時列車を出すかどうかという具体的な判断に結びつけている点が参考になります。

No.36 SGシステム:コールセンターの通話を自社のAIで文字にして要約し、記録の作業を減らす

  • 困っていたこと佐川急便などのコールセンターで、担当者が作る通話の記録の質にばらつきがあり、作業の負担も大きくなっていました。市販の要約ツールは高く、機能が多すぎました。
  • 作ったもの通話の文字起こしと要約を自動で行うAIのツールを、社内のAIの技術者が独自に作りました。生成AIへの指示の工夫で、要約の質を高めています。
  • AIの種類音声(自社開発)
  • 成果実証で月約180時間の削減を確かめ、本格運用後は担当者の作業時間が約30%減る見込みと公表しています。2025年11月から本格的に使っています。
  • 公表ページSGホールディングス(SGシステム)の発表(2025年11月)

ここがポイント市販のツールが高く、機能も多すぎたため、必要な機能だけを自社で作った例です。「全部入り」でなくてよい場合は、自作も選択肢になります。

↑ 業種の一覧に戻る

業種別のAI開発事例② 医療・介護・金融・保険の26件

人の健康やお金にかかわる業種では、AIが答えを出しても、最後は人が確かめる形をとっている例が目立ちます。

医療のAI開発事例(9件)

ここで紹介するのは、病院や会社が公表した開発や承認の内容です。診断や治療をすすめるものではありません。医療機器として承認されたAIも、医師の判断を助けるためのものです。

No.37 岡山大学病院と両備システムズ:内視鏡の画像から、早期胃がんの深さを判定するAI

  • 困っていたこと早期胃がんがどこまで深く広がっているかの判定は難しく、治療法(内視鏡で取るか、手術か)を選ぶための正確な診断が求められていました。
  • 作ったもの内視鏡で撮った画像をAIが調べ、がんの深さを判定して医師の診断を助けるシステムです。1枚の画像から角度などを変えた画像を作り、学習に使いました。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果正しく判定できた割合は約82%(会社の性能試験による)。2024年3月に医療機器として承認を受けています。
  • 公表ページ両備システムズと岡山大学の発表(2024年4月)

ここがポイント医師の判断を置きかえるのではなく、難しい判定を助ける道具として作られています。

No.38 国立がん研究センター・昭和大学・理化学研究所:おなかの赤ちゃんの心臓の超音波検査を支えるAI

  • 困っていたことおなかの赤ちゃんの心臓は小さく動いているため、超音波検査の技術の差が出やすく、生まれる前に病気を見つけられる割合に地域差がありました。
  • 作ったもの超音波の動画から、確かめるべき18か所を見つけて示すAIです。昭和大学の画像を国立がん研究センターが集め、理化学研究所が解析しました。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果経験の浅い医師がAIと一緒に判定したとき、異常を見つける割合(感度)が73.6%から78.4%に上がったと公表しています(60本の動画での試験)。2024年7月に承認を受けています。
  • 公表ページ理化学研究所・国立がん研究センター・昭和大学の発表(2024年9月)

ここがポイント経験の浅い医師の判定を助け、検査の技術の差を小さくすることがねらいの一つです。

No.39 エルピクセル:胸のレントゲン写真から、4種類の影の候補を示すAI

  • 困っていたこと小さな診療所では、画像診断を助けるAIを入れるための機器や初期費用が大きな負担でした。肺の結節(しこり)以外の影も見落とさないよう助けてほしいという声もありました。
  • 作ったもの胸のレントゲン写真から、肺の結節など4種類の影に似た部分を見つけて示し、医師の読影を助けるAIです。インターネット経由で使える版も用意しました。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果医師10人が参加した試験で、AIを使うと、異常を見つける割合が専門医で11.1%、経験5年未満の医師で15.5%上がったと公表しています。
  • 公表ページエルピクセルの発表(2024年9月)

ここがポイント導入の負担が大きい小さな診療所でも使いやすいよう、インターネット経由で使える形も用意した例です。

No.40 AIメディカルサービス:胃の内視鏡の動画から、早期胃がんの疑いがある場所を示すAI

  • 困っていたこと早期の胃がんは見分けにくく、一定の割合で見逃されていると言われています。
  • 作ったもの内視鏡の動画を調べ、がんが疑われる場所を映像に重ねて示すソフトウェアです。解析に向かない画像では一時停止する機能も備えています。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果1,099件で試した性能評価で、感度94.6%、特異度94.3%と公表しています。2026年5月に承認を受け、2026年夏ごろから順に販売するとしています。
  • 公表ページAIメディカルサービスの発表(2026年5月)

ここがポイント動画を見ながら、その場で疑わしい場所を示す仕組みです。性能の数字は、決まった条件での試験の結果です。

No.41 慶應義塾大学病院:電子カルテから、退院サマリの下書きを作る生成AI

  • 困っていたこと退院する患者の経過をまとめる「退院サマリ」は、1人分に平均1〜2時間かかり、医師の負担になっていました。
  • 作ったもの電子カルテの情報を読み込んで要約し、退院サマリの原案を作るシステムです。診療科ごとにAIへの指示を作り分け、元の記録と見比べやすい表示にしました。病院の中の閉じたネットワークに作っています。
  • AIの種類生成AI(IT企業のアルサーガパートナーズと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。5つの診療科の医師と、看護サマリで使われ始めたとしています。
  • 公表ページ慶應義塾大学病院の公式ページ、アルサーガパートナーズの発表(2025年6月)

ここがポイントカルテのような大量の記録をまとめる仕事は、生成AIが得意な分野です。病院の中の閉じたネットワークで動かし、情報を守っています。

No.42 東北大学病院とNEC:紹介状などの要約文を生成AIで作り、作成時間を平均47%短縮

  • 困っていたこと記録や書類の作成は、医師の時間外労働の大きな原因の一つでした。
  • 作ったもの電子カルテの症状・検査結果・処方を時間の順に整理し、治療の経過の要約文を生成AIで作る仕組みです。要約のもとになったカルテの記載もあわせて表示し、医師が確かめられるようにしました。
  • AIの種類生成AI(共同での実証)
  • 成果医師10人が参加した実証(2023年10〜11月)で、要約文を一から作る場合に比べて、作成時間が平均47%減ったと公表しています。
  • 公表ページ東北大学病院の発表、NECの発表(2023年12月)

ここがポイント要約のもとになったカルテの記載をあわせて示し、医師が確かめられるようにしている点が大切です。

No.43 大阪国際がんセンター:画面の中のアバターと話して体調を伝える、問診の生成AI

  • 困っていたこと薬の治療中の患者は体調を紙に書いて記録し、来院のたびに医師・薬剤師・看護師から同じことを聞かれていました。
  • 作ったもの患者が自分のスマートフォンでAIのアバターと会話(声の入力にも対応)して体調を伝えると、生成AIが気になる症状も聞き取り、電子カルテでグラフや週ごとのまとめとして見られる仕組みです。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。診察で症状を聞き取る時間を減らすことを目標にしています。2025年9月から実際に使っています。
  • 公表ページ大阪国際がんセンターの発表(2025年10月)

ここがポイント患者が話した内容を、医療者がまとめて見られる形にした例です。同じことを何度も聞かれる負担を減らすことがねらいです。

No.44 アステラス製薬:人とAIとロボットで、薬の候補を作る期間を約70%短縮

  • 困っていたこと薬の開発には通常9〜16年かかり、成功の確率も低いとされています。
  • 作ったものAIが薬の候補となる化合物を設計・予測し、ロボットが自動で合成し、研究者が遠隔で評価を見守る仕組みです。研究・開発・デジタルの部門が一緒に作りました。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果有望な化合物から薬の候補を得るまでの期間が、従来の方法に比べて約70%短くなったと公表しています。
  • 公表ページアステラス製薬の公式ニュース(2025年4月)

ここがポイントAIだけでなく、ロボットと研究者の判断を組み合わせた例です。はじめは研究者に実際に使ってもらうことが課題だったと、同社は説明しています。

No.45 第一三共とエクサウィザーズ:約60億種類の化合物から、有望な候補を約2か月で絞り込み

  • 困っていたこと病気の原因となるたんぱく質の中には、薬の候補を見つけるのが特に難しいものがありました。
  • 作ったものAIと、たんぱく質の形から候補を探すシミュレーションを組み合わせ、約60億種類の化合物をコンピューターの上でふるい分ける流れを作りました。
  • AIの種類予測(共同開発)
  • 成果約2か月で約400の有望な化合物に絞り込み、その中から良い働きを示すものが見つかったと公表しています(研究の段階)。
  • 公表ページエクサウィザーズの発表(2024年3月)

ここがポイント人の手では調べきれない数の候補を、AIでふるい分けた例です。研究の段階の成果です。

介護・福祉のAI開発事例(5件)

見守り、ケアプランや記録づくり、送迎の計画など、職員の負担を減らすためのAIが作られています。

No.46 富士通:カメラを使わず、電波とAIで転倒や体の異変を見つける見守り

  • 困っていたこと人手不足で目が届きにくい場所での転倒や急な体調の変化が心配されていました。個室やトイレは、プライバシーの点でカメラを置きにくい場所です。
  • 作ったものミリ波レーダー(電波で物の動きをとらえる機器)で人の動きや呼吸の揺れをとらえ、AIが転倒や異変を見つけて担当者に知らせるシステムです。映像は記録しません。病院での実証を経て製品にしました。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。2025年6月から提供を始めています。
  • 公表ページ富士通の発表(2025年6月)

ここがポイントカメラを置きにくい場所でも見守れるよう、電波を使った点が特徴です。プライバシーへの配慮も、AIを作るときの大切な条件になります。

No.47 ベネッセスタイルケア:経験豊かな介護職の見方をAIに移した「マジ神AI」

  • 困っていたこと経験の浅い介護職でも、経験豊かな介護職に近いケアができるようにしたいと考えていました。
  • 作ったもの経験豊かな介護職が日々の記録をどう読み取っているかを取り入れ、入居者の状態をつかみやすくする画面を、介護記録のシステムに組み込みました。
  • AIの種類予測(自社開発。AIの詳しい手法は公表されていません)
  • 成果先に取り入れた31のホームで、よく使ったホームでは事故の件数が統計的にはっきり減ったと公表しています。
  • 公表ページベネッセスタイルケアの発表(2025年7月)

ここがポイント新しいデータを集めるのではなく、毎日の介護記録の読み方をAIで助けた例です。

No.48 チャーム・ケア・コーポレーション:老人ホームのケアプラン作りを生成AIで自動化

  • 困っていたことケアマネジャー(介護の計画を立てる専門職)の数が減る一方で、ケアプランは状態の変化に合わせて何度も作り直す必要がありました。
  • 作ったもの国の手引きなどを学ばせた生成AIに、介護記録のデータを読み込ませてケアプランの案を作るシステムです。チャーム・ケアが現場とデータを出し、NTT DXパートナーが設計・開発しています。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果実測の数値はまだ公表されていません。ケアプラン作りにかかる時間を月35時間ほど減らせる見込みとしています。2026年春の現場での利用をめざすと発表していました。
  • 公表ページチャーム・ケア・コーポレーションとNTT DXパートナーの発表(2025年5月)

ここがポイント国の手引きをAIに学ばせ、記録のデータと組み合わせた例です。数字は見込みで、実際の効果はこれから確かめる段階です。

No.49 やさしい手:話すだけで介護記録ができる、介護事業者が作った生成AI

  • 困っていたこと人手不足が続くなか、計画書や記録を書く仕事が大きな負担でした。
  • 作ったもの訪問介護などを運営する同社が、自社の現場の知恵をもとに作った介護向けの生成AIです。仕事中にイヤホンで話した内容から、AIが介護記録を作ります。自社の職員が6か月かけて試しました。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果同社の試算では、記録を作る時間が12分の1になるとしています(実際に測った前後の比較ではなく、条件を置いた試算です)。
  • 公表ページやさしい手の公式ページ、同社の発表(2024年10月にサービス開始)

ここがポイント介護事業者が自分の現場の知恵をもとに作り、ほかの事業所にも提供している例です。数字は同社の試算です。

No.50 ツクイ:デイサービスの送迎の計画を、AIで自動で作る

  • 困っていたこと送迎が仕事全体の約3割を占め、ベテランの職員が、車いすの有無や到着時間などたくさんの条件をパズルのように組み合わせて計画を作っていました。
  • 作ったもの車の管理システムをもとに、利用者ごとの条件とAIによるルートの計算を組み合わせ、全部の車の送迎計画を自動で作る仕組みです。
  • AIの種類最適化(パナソニックと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。管理者1人しか作れなかった送迎計画を、ほかの2人も作れるようになったとしています。2018年の事例で、この仕組みは現在、製品として販売されています。
  • 公表ページパナソニックの導入事例ページ(2018年)

ここがポイントベテランだけができた計画づくりを、ほかの人もできるようにした例です。仕事を1人に頼らない形にすることも、大切な成果です。2018年と古い事例です。

金融(銀行・証券)のAI開発事例(8件)

不正な取引の発見や審査の予測に加えて、行員の問い合わせに答える生成AIが増えています。カード会社や信用金庫の例も含みます。各社の仕組みの紹介で、金融商品をすすめるものではありません。

No.51 北洋銀行:口座の不正利用を見つけるAIを、銀行の中で開発

  • 困っていたこと決めておいた条件で取引を見張るやり方では、巧妙になった特殊詐欺の手口を見つけにくくなっていました。
  • 作ったもの過去の大量の取引データを学ばせ、不正利用に特有の動きを見つけるAIです。外部の会社に頼らず銀行の中で作ったため、新しい手口に合わせた改良も自分たちでできます。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。試験では、これまでの方法より高い精度で不正利用を早く見つけられたと公表しています。
  • 公表ページ北洋銀行の発表(2025年10月)

ここがポイント外部に頼らず銀行の中で作ったため、新しい手口に合わせて自分たちで直せる点が強みです。

No.52 SBI新生銀行:怪しい取引をAIが点数にして、調べる件数を約半分に

  • 困っていたことマネー・ローンダリング(犯罪で得たお金の出どころを隠すこと)の手口が変わり続け、見張る取引の量も膨大になっていました。
  • 作ったもの取引ごとに「怪しさ」を点数で示し、AIがそう判断した理由も表示する仕組みを自社で作りました。2023年に導入し、学習データを入れ替えながら精度を上げています。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果導入前と比べて、調査が必要な件数が約50%減ったと公表しています。
  • 公表ページSBI新生銀行の発表(2025年1月)

ここがポイントAIが人の確認をなくすのではなく、「調べなくてよい取引」を見分けて、人が見るべき取引に集中できるようにした例です。

No.53 京都銀行:マイカーローンと教育ローンの審査に、自前のAIモデル

  • 困っていたこと審査の精度を上げつつ、手続きを速くすることを目指していました。
  • 作ったもの消費者ローンの過去の申し込みデータ(年齢や収入など)を学ばせ、申し込みごとに審査の点数を出すAIを、銀行の中で作りました。銀行が長年ためてきた審査のノウハウも反映しています。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。2025年5月19日の申し込み分から使っています。
  • 公表ページ京都銀行の発表(2025年5月)

ここがポイント長年ためてきた審査のデータとノウハウを、AIのモデルに生かした例です。

No.54 三井住友カード:問い合わせへの回答案を、生成AIが社内の資料から下書き

  • 困っていたことコンタクトセンターには月に約50万件を超える問い合わせがあり、対応の質と件数を上げることが急がれていました。
  • 作ったもの問い合わせの内容に合わせて社内の資料を探し、回答の下書きを作る生成AIの仕組みです(RAG)。国内のAI企業ELYZAの生成AIを使い、2024年6月末からメールの回答で使っています。
  • AIの種類生成AI(外部の会社と導入)
  • 成果対応にかかる時間が、最大で60%ほど短くなる見込みと公表しています(発表時点の見込み)。
  • 公表ページ三井住友カードとELYZAの発表(2024年7月)

ここがポイント生成AIにお客さまへ直接答えさせるのではなく、社員が使う「下書き」を作らせる形です。最初はメールの回答から始めています。

No.55 三菱UFJ銀行:電話の用件を生成AIが聞き取り、合う担当者へつなぐ

  • 困っていたことお客さまの求めの変化に素早く応え、サービスの質と業務の効率を両立させることを目指していました。
  • 作ったものコールセンターに電話したお客さまの話を生成AIがその場で読み取り、用件に合う担当者へつなぐ受付の仕組みです。通信会社のNTTドコモビジネスと試験を重ね、銀行の独自の用語もAIに学ばせました。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2025年12月から、フリーダイヤルの一部で使い始めています。
  • 公表ページ三菱UFJ銀行の発表、NTTドコモビジネスの発表(2025年12月)

ここがポイント音声のガイダンスの途中でお客さまが離れてしまう課題に、生成AIの聞き取りで応えた例です。

No.56 常陽銀行:取引先の課題から、合う提案を探す行員向けの生成AI

  • 困っていたこと取引先への提案の中身が、行員の経験や知識に大きく左右されていました。
  • 作ったもの外部とつながらない環境に作った行員向けの生成AIに、銀行・グループ会社・外部機関の提案メニューを読み込ませ、取引先の課題に合うものを探して答える仕組みを加えました。同じ仕組みで、融資の審査に関わる情報の検索なども加えています。
  • AIの種類生成AI
  • 成果この仕組み単体の数値の公表はありません。行員向けの生成AI全体は、月に1,000人以上(全行員の約31%)が使っていると公表しています。
  • 公表ページめぶきフィナンシャルグループ(常陽銀行の持株会社)の発表(2025年9月)

ここがポイント行員の経験の差を、提案メニューを探せる仕組みで補った例です。同じ仕組みを、審査やコールセンターの調べものにも広げています。

No.57 碧海信用金庫:規程をもとに、支店からの問い合わせへ生成AIが答える

  • 困っていたこと支店の職員は、分からないことがあると本部に電話したり、あちこちの文書から手作業で調べたりしていました。金庫内の問い合わせは毎日約4,000件あります。
  • 作ったものNTTデータの生成AIサービスに、規程や要領など金庫独自の文書を読み込ませ、その文書をもとに答える仕組みを作りました(RAG)。答えには、根拠になった文書も並べて表示します。
  • AIの種類生成AI(外部の会社と導入)
  • 成果数値の公表はありません。毎日約4,000件の問い合わせへの回答を効率化するとしています。
  • 公表ページ碧海信用金庫とNTTデータの発表(2025年2月)

ここがポイント答えと一緒に根拠の文書を示すことで、職員が内容を確かめられるようにしています。地域の金融機関でも取り組める形です。

No.58 野村ホールディングス:決算資料を読み込み、企業を評価するAIエージェント

  • 困っていたこと運用の担当者は、財務の数字に加えて、決算説明の資料や議事録など、膨大な文章を読み解く必要がありました。
  • 作ったもの東京大学の研究室との共同研究をもとに、決算資料などの文章を生成AIで分析し、業績の見通しなどを点数にするAIエージェント(決められた目的に向けて、AIが自分で作業を進める仕組み)を作りました。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。過去のデータで試した検証で、有効性を確かめたとしています。社内での試験導入の準備中です。
  • 公表ページ野村ホールディングスの発表(2026年3月)

ここがポイント大学との共同研究から、実務で使うAIへと進めている例です。数字の分析に、文章の分析を足す考え方です。

保険のAI開発事例(4件)

保険金の査定、加入の審査、代理店への回答、営業の練習にAIが使われています。

No.59 三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保:生成AIで作られた偽の損害写真を見抜く

  • 困っていたこと画像を作るAIが広まり、本物と見分けにくい偽の写真で保険金を請求される危険が出てきました。
  • 作ったもの損害の写真や修理の見積書などの画像を、いくつもの検知技術で調べ、AIで作ったり加工したりした疑いを見つける機能です。結果は担当者の参考情報として使い、支払いの判断は人が行います。
  • AIの種類画像認識(IT企業のテックユニオンと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2026年8月から、保険金を支払う業務で使い始めています。
  • 公表ページ三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保・テックユニオンの発表(2026年8月)

ここがポイントAIが広まったことで生まれた新しい不正に、AIで備える例です。支払いの判断は人が行い、AIの結果は参考にとどめています。

No.60 明治安田生命:約130万件の健診データで学ばせたAIを、加入の審査に

  • 困っていたことこれまでは、病気の経歴や今の健康状態をもとにした医学的な査定だけで、加入を引き受けるかを決めていました。
  • 作ったもの匿名にした約130万件の健診データ(BMIや血圧など)と病気の経歴を学ばせ、申し込んだ人の将来の病気のリスクを予測する独自のモデルです。医学的な査定と組み合わせて使います。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。より細かい査定で、より多くの人の加入を引き受けられるようになったと公表しています。
  • 公表ページ明治安田生命の発表(2025年1月)

ここがポイント健診の数字を使って、医学的な査定を補う例です。より多くの人の加入につながったという点は、AIが「断る」ためだけでなく「受け入れる」ためにも使えることを示しています。

No.61 東京海上日動:代理店からの問い合わせに答える生成AIで、回答時間を約4割短縮

  • 困っていたこと保険の仕事は専門用語が多く、やりとりも複雑なため、対話するAIを実務で使うのは難しいとされていました。
  • 作ったもの約100万件の過去の問い合わせと回答を学ばせた検索AIが似た事例を探し、生成AIが回答の例を作る仕組みです。回答例は社員が確かめて直してから、代理店に返します。
  • AIの種類生成AI(AI企業のPKSHA Technologyと共同開発)
  • 成果約8〜9割の問い合わせで役に立つと確かめられ、社員が1件の回答にかける時間が約4割減ったと公表しています。
  • 公表ページ東京海上日動とPKSHA Technologyの発表(2024年11月)

ここがポイント約100万件の過去のやりとりという、社内にたまっていたデータを生かした例です。回答例は社員が確かめてから返しています。

No.62 住友生命:生成AIのお客さま役を相手に、台本なしで営業の練習

  • 困っていたことお客さまへの説明の力を高めるには、練習を続けることが欠かせませんでした。
  • 作ったもの年代や家族構成を選べる「お客さま役」の生成AIと、台本なしで自由に会話して営業の練習ができる仕組みです。練習の後、直すとよい点を生成AIがその場で示します。
  • AIの種類生成AI(AI企業のエクサウィザーズと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。前の版で、説明の仕方のばらつきを減らし、指導の手間を減らす効果が見られたとしています。
  • 公表ページ住友生命の発表(2026年1月)

ここがポイントお客さま役を生成AIが演じることで、相手がいなくても練習ができます。社員の育成に生成AIを使う例です。

↑ 業種の一覧に戻る

業種別のAI開発事例③ 小売・飲食・観光・不動産・メディアの24件

お客さまと直接かかわる業種では、発注や値付けの予測と、問い合わせや説明文をつくる生成AIが目立ちます。

小売・ECのAI開発事例(8件)

天気や売れ行きから発注の数を出す予測のAIが多く、地方のスーパーの例もあります。

No.63 セブン‐イレブン・ジャパン:天気・曜日・売れ行きから発注数を出すAI発注

  • 困っていたこと在庫が減ってから注文する方法では品切れが起きやすく、店の人が数を入力する手間も負担でした。
  • 作ったもの天気や曜日の傾向、過去の売れ行きから売れる数を予測し、ちょうどよい在庫の数を出して発注するシステムです。
  • AIの種類予測(野村総合研究所と共同開発)
  • 成果発注にかかる時間が約40%減ったと公表しています。2023年から全店で使っています。
  • 公表ページセブン‐イレブン・ジャパンの公式サイト、野村総合研究所の事例ページ(2026年3月)

ここがポイント天気や曜日など、店の外の情報も予測の材料にしています。店の人の入力の手間が減ることも、大きな成果です。

No.64 マルイ(岡山県のスーパー):天気や催事から、日配品の発注量をAIで予測

  • 困っていたこと天気や特売で売れ方が大きく変わる商品や、賞味期限の短い商品は、それまでの自動発注では数を読めませんでした。
  • 作ったもの店の情報・売れ行き・特売・天気・暦のデータから、商品ごとに合う予測の方法を自動で選んで売れる数を出すシステムです。日本IBMがクラウド上に作りました。
  • AIの種類予測(委託開発)
  • 成果試験では、和日配(豆腐などの和風の日配品)の売れる数の予測の精度が96.3%、発注の時間は各売り場で50%減ったと公表しています。2024年9月から全店で使っています。
  • 公表ページマルイと日本IBMの発表(2024年9月)

ここがポイント地方のスーパーでも、大手と同じ考え方のAI発注に取り組めることを示す例です。試験で効果を確かめてから、全店に広げています。

No.65 ハローデイ(福岡県のスーパー):店ごとの売り場に合わせたAI自動発注で、月6,837時間を削減

  • 困っていたこと人手が足りないなかで、店の人の育成や生産性、物流センターの効率など、いくつもの課題を抱えていました。
  • 作ったもの日配品や冷凍食品など1店あたり約7,000品目を、売れる数の予測にもとづいて自動で発注する仕組みです。店ごとの売り場や、取引先ごとの納品の条件に合わせて、少しずつ作り直しながら仕上げました。
  • AIの種類予測(日立グループと共同開発)
  • 成果全49店で、1か月の総労働時間が前の年より6,837時間減り、自動で発注できた割合は90%以上、品切れの率も下がったと公表しています。
  • 公表ページハローデイと日立製作所などの発表(2025年12月)

ここがポイント店ごとの売り場の違いに合わせて、少しずつ作り直しながら仕上げた点が特徴です。

No.66 イオンリテール:その時の売れ方から値引き率を出す「AIカカク」

  • 困っていたこと公表資料に課題の記載はありません。2020年に、AIで売れる数を予測する取り組みを始めたとしています。
  • 作ったもの売れ行きや天気、客数などを学んだAIが売れる数を予測し、商品のバーコードと並んでいる数から、ちょうどよい値引き率を示す仕組みです。
  • AIの種類予測(日本IBMと共同開発)
  • 成果導入前に比べて、売れ残りなどによる損失の割合が1割以上減ったと公表しています。総菜から始め、約380店・約1,200品目に広げています。
  • 公表ページイオンリテールの発表(2024年5月)

ここがポイント値引きの判断のように、経験に頼っていた仕事をAIで助けた例です。総菜から始め、ほかの売り場に広げています。

No.67 トライアル:棚を見るAIカメラと電子の値札で、お弁当を自動で値下げ

  • 困っていたこと公表資料に課題の記載はありません。このAIカメラは、はじめは品切れを見つけるために使っていたとしています。
  • 作ったものグループ会社が独自に作った「AIカメラ」で棚の商品の様子をとらえ、売れ方から売れ残りそうなお弁当をAIが判断し、電子の値札の価格を20%引きや半額に変える仕組みです。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。小型店の「トライアルGO」で使っています。
  • 公表ページトライアルホールディングスの公式サイト(2023年6月)

ここがポイント品切れを見つけるために入れたカメラを、値下げにも使った例です。一度作った仕組みを別の目的に広げる考え方が参考になります。

No.68 メルカリ:写真から商品の説明文と価格を自動で入れる「AI出品サポート」

  • 困っていたこと出品するときに商品の説明を書くのが負担で、途中でやめてしまう人がいました。
  • 作ったもの撮った写真とカテゴリーから、AIが商品のタイトルと説明文を作り、商品の状態や価格も自動で入れる機能です。
  • AIの種類生成AI
  • 成果数値の公表はありません。最短3回の操作で出品が終わるとしています。
  • 公表ページメルカリの発表(2024年9月)

ここがポイント利用者の手間を減らすために、サービスの中に生成AIを組み込んだ例です。

No.69 楽天市場:買った物や見た物から、好みに合う商品の画像や動画を出すAI

  • 困っていたこと約5億点の商品の中から、利用者が好みの商品や、まだ知らない商品に出会えるようにしたいと考えていました。
  • 作ったもの買った物、見た物、お気に入りなどの記録から興味を読み取り、お店が作った画像や動画の中から、その人に合うものを選んで出す機能です。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。楽天市場のアプリで本格的に提供を始めています。
  • 公表ページ楽天グループの発表(2025年11月)

ここがポイントお店が作った画像や動画の中から、その人に合うものを選んで見せる例です。

No.70 カインズ:トラックの積み方と在庫の日数を両立させる、発注量の自動計算

  • 困っていたこと売れる数の予測を発注に反映する作業を、約190万行の表計算で行っていて、出力だけで丸2日かかっていました。
  • 作ったもの普段の言葉で、必要な発注のデータを取り出せるAIの仕組みを作りました。あわせて、在庫の日数を保ちながらトラックにいちばん多く積める発注量を計算する方法を作り、発注を自動化しました。
  • AIの種類最適化(自社開発)
  • 成果2〜3日かかっていたデータの取り出しと計算の作業が大きく効率化したとしています(減った時間の数値は公表されていません)。
  • 公表ページ開発の土台を提供したGoogle Cloudの事例ページ(2026年4月)

ここがポイント予測の結果を発注に反映する手作業の部分を、自社で自動にした例です。予測と最適化を組み合わせています。

飲食のAI開発事例(5件)

来店客数の予測をもとに、仕込みや発注の量を決める例が中心です。

No.71 ゑびや(伊勢の食堂):自分たちで作った来客予測で、仕込みと発注を決める

  • 困っていたこと人手不足などで、店を小さくすることも考えるほどでした。そろばんや手書きの食券など、仕事のやり方も効率がよくありませんでした。
  • 作ったもの過去の売上やイベントの情報、天気のデータから、翌日から1年先までの来客数を予測する仕組みを自社で作りました。
  • AIの種類予測(自社開発)
  • 成果食堂の来客予測の的中率は、2019年の年間平均で95.7%と公表しています(同じ代表者の会社EBILABの公表値)。
  • 公表ページ経済産業省「DXセレクション2024」の資料(2024年3月)、EBILABの公式ページ

ここがポイント小さな食堂が自分たちで作った仕組みを、ほかの店にも提供するまでになった例です。

No.72 丸亀製麺:レジと天気のデータで、店ごと・時間ごとの客数を予測

  • 困っていたこと発注やうどんの仕込みの量を、スタッフの経験で決めていました。人の配置や食品ロスも課題でした。
  • 作ったもの天気のデータとレジのデータから、店ごと・日ごと・時間帯ごとの客数や売れる数を予測するサービスです。富士通の需要予測のサービスを土台に作りました。
  • AIの種類予測(外部の会社と導入)
  • 成果数値の公表はありません。2021年から段階的に試し、効果を確かめたうえで、国内の全823店で使うことを決めたと公表しています。
  • 公表ページトリドールホールディングスと富士通の発表(2023年2月)

ここがポイント仕込みの量をスタッフの経験で決めていた店にとって、客数の予測は、作りすぎと品切れの両方を減らす材料になります。

No.73 ロイヤルホスト・てんや:食材を使う量の予測を物流にもつなぎ、食品ロスを減らす

  • 困っていたこと店の食材の在庫をちょうどよくし、食品ロスを減らしたいと考えていました。
  • 作ったもの客数の予測や天気予報から食材を使う量を予測して発注する仕組みを店で使い、その予測を物流センターや野菜の加工の計画にもつなぐ仕組みを、4社で作りました。
  • AIの種類予測(共同開発。予測の部分は外部のサービスです)
  • 成果数値の公表はありません。仕入れすぎや品切れを防ぎ、食材のロスを減らせたとしています(実証の段階)。
  • 公表ページロイヤルホールディングスなど4社の発表(2025年8月)

ここがポイント店での予測を、物流センターや野菜の加工の計画にまでつないだ点が特徴です。

No.74 くら寿司:回転レーンの寿司カバーの怪しい開け閉めを、AIカメラで見つける

  • 困っていたこと回転寿司の店で悪質な迷惑行為が続き、レーンの商品に不安を感じるお客さまがいました。
  • 作ったもの取った皿を数えるために全店に入れていたAIカメラを広げ、寿司カバーの怪しい開け閉めを見つけると本部で知らせが鳴り、店がその皿を下げる仕組みです。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。2023年3月から全店で使っています。
  • 公表ページくら寿司の発表(2023年3月)

ここがポイント皿を数えるために入れていたAIカメラを、衛生の見張りにも広げた例です。

No.75 モスバーガー:AIが注文を受け、店員が確かめるドライブスルー

  • 困っていたこと人手不足への対応を考えていました。海外では、声で注文を受けるAIの聞き取りの精度が課題とされていました。
  • 作ったものお店の決まりに沿った会話でAIがドライブスルーの注文を受け、店員が内容を確かめて補う仕組みです。外部の会社の音声AIを、お店に合わせて調整しました。
  • AIの種類音声(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。1店舗から試験を始め、2026年度中に5か所ほどで試す予定としています。
  • 公表ページモスフードサービスの発表(2026年1月)

ここがポイントAIに任せきりにせず、店員が確かめて補う形にしています。声の聞き取りの精度の心配に、人の確認で備えた例です。

観光・宿泊のAI開発事例(4件)

観光庁の調査事業で試された旅館や観光地の例では、問い合わせやメールの返信を生成AIで下書きしています。

No.76 関門DMO(門司港):観光と交通の情報をもとに、問い合わせの回答案を作る生成AI

  • 困っていたこと観光案内所には月に500〜700件ほどの相談があり、対応に時間がかかっていました。
  • 作ったものパンフレットやイベント情報などの地域の資料と、スポットや時刻表のデータをもとに、職員向けに回答の案を作る生成AIのツールです。
  • AIの種類生成AI(観光庁の調査事業での実証)
  • 成果旅行者からの問い合わせの約69%に答えられるようになり、対応の時間が52%短くなったと公表しています。
  • 公表ページ観光庁の調査事業の実証結果(2025年3月)

ここがポイントパンフレットなど、観光地にすでにある資料を生成AIに読ませた例です。すべてをAIが答えるのではなく、職員の回答の案として使っています。

No.77 和心亭豊月(箱根の旅館):予約のメールから返信文を作る生成AIのツール

  • 困っていたこと予約を確かめるメールを手作業で作っていて、条件が複雑なため自動化も進まず、時間と手間がかかっていました。
  • 作ったもの予約の内容を読み込み、旅館のメールの型と過去の例に沿って返信の下書きを作り、アレルギーなどの注意点も示すツールです。市販の生成AI(ChatGPT)の上に、旅館の型と決まりを組み込んで作りました。
  • AIの種類生成AI(観光庁の調査事業での実証)
  • 成果予約を確かめるメール1通を作る時間が7分から3分になり、約63%の作業が減ったと公表しています。
  • 公表ページ観光庁の調査事業の実証結果(2025年3月)

ここがポイント市販の生成AIの上に、旅館のメールの型と決まりを組み込んだ小さな仕組みです。旅館のような小さな事業者でも取り組みやすい形です。

No.78 ナビタイムジャパン:自社の観光データと道順の計算で、1日の旅行プランを作る生成AI

  • 困っていたことそれまでの旅行プランを作る機能は、行き先が決まっている人向けで、計画がない人には使いにくいものでした。
  • 作ったもの出発地・目的地・テーマを選ぶと、自社で整えた観光スポットのデータと道順の計算を組み合わせて、生成AIが立ち寄り先をよい順番で回る1日のプランを提案する機能です。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。旅行のサービスのパソコン版で提供を始めています。
  • 公表ページナビタイムジャパンの発表(2024年3月)

ここがポイント自社でためてきた観光地のデータが、生成AIの提案の中身を支えています。

No.79 ホテルおかだ(箱根):予約のデータから需要を予測し、予約の受け方とシフトに使う

  • 困っていたこと予約の状況から受けるかどうかを決めるのが難しく、多くの従業員が上司に確認する必要があり、判断が遅れがちでした。
  • 作ったもの予約のデータを集め、機械学習で予約や需要の予測を自動で作る仕組みです。予約の状況と予測を、社内のチャットで誰でも聞けるようにしました。
  • AIの種類予測(観光庁の調査事業での実証)
  • 成果データを整理する負担が減り、業務の時間が月10時間減ったと公表しています。
  • 公表ページ観光庁の調査事業の実証結果(2025年3月)

ここがポイント予測の結果を、誰でもチャットで聞けるようにした点が特徴です。判断を一部の人に頼らない形にしています。

不動産のAI開発事例(3件)

売却価格の査定と、物件の資料づくりにAIが使われています。

No.80 LIFULLとウィル:マンションの売却価格と、その理由を会話で説明する生成AI

  • 困っていたことそれまでのAI査定は「価格は出るが理由が分からない」「質問に答えられない」という課題がありました。
  • 作ったもの不動産仲介の実務の知恵と生成AIを組み合わせ、LINEでの会話でマンションの情報を入れると、売却価格を推定し、理由や周りの相場を説明する仕組みです。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。一部の地域で、試しの版の提供を始めています。
  • 公表ページLIFULLの発表(2025年5月)

ここがポイント価格だけでなく「なぜその価格か」を説明する点が、これまでのAI査定との違いです。

No.81 GA technologies:AIが予測した家賃から、投資用マンションの売却価格を出す査定

  • 困っていたこと住むための物件と投資のための物件で、査定の考え方を分け、より正確な価格を示したいと考えていました。
  • 作ったものAIが予測した家賃をもとに、投資用のマンションの査定価格を出す機能です。
  • AIの種類予測
  • 成果AI査定をした登録物件が、2023年9月に累計2万件を超えたと公表しています。
  • 公表ページGA technologiesの発表(2023年10月)

ここがポイント家賃の予測から売却価格を出すという、投資用の物件ならではの考え方をAIに組み込んだ例です。

No.82 アットホーム:空き部屋の写真に家具を置いた画像を、生成AIで作る

  • 困っていたこと家具を置いた物件の写真を作るには、実際に家具を運んで撮るか、画像を加工する必要があり、手間と費用がかかっていました。ふつうの画像生成AIでは、部屋の間取りや設備まで変わってしまう問題もありました。
  • 作ったもの部屋のつくりを保ったまま、家具や飾りを置いた画像を作るプログラムです。専門のチームが確かめてから納品します。
  • AIの種類生成AI(グループ会社で自社開発。特許を取得)
  • 成果数値の公表はありません。最短で翌営業日に納品するとしています。
  • 公表ページアットホームの発表(2025年7月)

ここがポイントふつうの画像生成AIでは部屋の形まで変わってしまう問題に、専用の工夫で応えた例です。人が確かめてから納品しています。

メディア・通信・ITのAI開発事例(4件)

記事の要約、通信網の保守、問い合わせ対応に生成AIを使う例と、自社で言語モデルを作った例です。

No.83 LINEヤフー:ニュース記事の要点を、生成AIが3つにまとめる

  • 困っていたこと利用者が、短い時間でニュースの全体をつかめるようにしたいと考えていました。
  • 作ったもの編集部が選んだ記事について、生成AIが「何があったか」「詳しく」「今後」などの観点で要点を整理し、3つにまとめて表示する機能です。要約するのは、利用の許可を得た記事だけです。
  • AIの種類生成AI
  • 成果数値の公表はありません。Yahoo! JAPANのアプリで提供を始めています。
  • 公表ページLINEヤフーの発表(2025年9月)

ここがポイント要約するのは利用の許可を得た記事だけにするなど、権利への配慮も組み込まれています。

No.84 NTTドコモ:100万台を超える通信装置のデータから、故障の場所と対処の案を出すAI

  • 困っていたこと通信網が複雑になり、原因の分からない故障では何人もの担当者が大量のデータを調べる必要があって、復旧まで時間がかかっていました。
  • 作ったもの基地局などの100万台を超える装置のデータを、複数のAIエージェントがその場で分析し、異常を見つけ、怪しい場所を絞り込み、対処の案を示す仕組みです。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果これまでに比べて、対応の時間が50%以上減ったと公表しています。2026年2月から実際に使っています。
  • 公表ページNTTドコモの発表(2026年2月)

ここがポイント複数のAIエージェントに役割を分けて、分析を進めさせた例です。

No.85 KDDI(auサポート):長い問い合わせを要約し、足りない情報を聞き返す生成AIのチャット

  • 困っていたことそれまでのチャットボットは、長い文や情報の足りない問い合わせの意図をつかめず、問い合わせの約3割がこれに当たっていました。
  • 作ったものLINEのチャットボットに生成AIを組み込み、入力の内容を要約したり、足りない情報を聞き返したりする仕組みです。人の担当者に引き継ぐときの会話の要約にも使っています。
  • AIの種類生成AI
  • 成果事前の試験で、それまでのチャットボットより約5分(約2割)短くなった例を確かめたと公表しています。
  • 公表ページKDDIの発表(2024年3月)

ここがポイントそれまでのチャットボットが苦手だった長い問い合わせに、生成AIで対応した例です。

No.86 NTT:少ない計算機で動く、日本語に強い大規模言語モデル「tsuzumi」を自社開発

  • 困っていたこと大規模言語モデル(大量の文章を学んだ、文章を作るAI)は、学習に大きな電力と費用がかかり、企業が自分用に調整するのも負担でした。
  • 作ったもの40年以上の言葉の研究の積み重ねを生かして、日本語と英語に対応した軽い大規模言語モデルを作りました。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果他の大きなモデルと比べて、学習にかかる費用を約25分の1から約300分の1に抑えられると試算しています(NTTの試算)。
  • 公表ページNTTの発表(2023年11月)

ここがポイント大きなAIではなく、軽くて動かしやすいAIを目指した例です。自社の中でAIを動かしたい企業にとって、選択肢を広げる考え方です。

↑ 業種の一覧に戻る

業種別のAI開発事例④ 農業・自治体・教育・中小企業の23件

農業・自治体・学校・中小企業の事例には、国や県の事業、大学との共同研究として作られたものが多く含まれます。

農業・水産のAI開発事例(6件)

収穫の時期や量の予測、作物や生き物を見分ける画像認識、養殖のエサの量の調整などにAIが作られています。

No.87 堀口園(鹿児島の茶の生産者):職人の勘に頼っていた茶の摘みどきを、AIの画像解析で見極める

  • 困っていたこと茶の収穫にいちばんよい時期を、職人が経験と勘で見極めていて、その人に頼りきりになっていました。
  • 作ったもの画像から茶の収穫にちょうどよい時期を判断するAIの仕組みを、試しに使い始めました。あわせて、生産者の事務作業をシステムにし、取引先とデータを共有する仕組みも作りました。
  • AIの種類画像認識
  • 成果数値の公表はありません。画像解析は試験運用を始めた段階です。
  • 公表ページ中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(2024年12月)

ここがポイント職人の勘を画像で見極めようとする、試験の段階の例です。生産者の事務のシステム化とあわせて進めています。

No.88 NXアグリグロウ(山梨県北杜市):センサーとカメラの画像から、2週間先の葉物野菜の収穫量を予測

  • 困っていたこと天気の変化で、週の収穫量が出荷の計画に届かないことがあり、翌週の分を前倒しで収穫していました。計画と実際の差が、契約栽培の大きな課題でした。
  • 作ったもの畑の温度・湿度・日射量などのセンサーと、カメラで撮った作物の画像のデータを集め、2週間ほど先の収穫量をAIで予測するシステムです。
  • AIの種類予測(農業のAI企業AGRISTと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。山梨県の実証事業に選ばれ、実証を始めた段階です。
  • 公表ページAGRISTの発表(2025年1月)

ここがポイント収穫量の予測は、出荷の計画や物流の効率化にもつながります。実証を始めた段階の例です。

No.89 熊本県農業研究センターと電マーク(高松市):地鶏のヒナの雌雄を、AIが画像で見分ける

  • 困っていたことヒナのオス・メスを見分ける専門家(鑑別師)が高齢化などで足りなくなり、地鶏を育て続けるための見分けが難しくなっていました。
  • 作ったものヒナの動画から切り出した画像を、遺伝子検査で確かめたオス・メスの情報とあわせてAIに学ばせ、雌雄を見分けるシステムと装置です。
  • AIの種類画像認識(県・会社・大学の共同開発)
  • 成果オス・メス各350羽を学ばせ、精度は目標の98%に近づいたと公表しています。1羽の判定は0.5秒です。
  • 公表ページ総務省「地域社会DXナビ」の事例紹介(2025年8月)

ここがポイント専門家が足りなくなる仕事を、AIで支えようとする例です。精度をさらに上げるには、もっと多くのデータが要るとしています。

No.90 トクイテン(愛知県知多市):ミニトマトの熟し具合を画像で見て、吸い取って収穫するロボット

  • 困っていたこと知多市では販売農家の数が10年で大きく減るなど、担い手が足りませんでした。前の年に試した遠隔操作のロボットは、正確な操作が必要で、収穫の速さにも課題がありました。
  • 作ったものロボットのカメラで撮ったミニトマトの色などから熟し具合を判定し、収穫する実の位置を示してノズルで吸い取る収穫ロボットを、自社のハウスで作りました。
  • AIの種類画像認識(自社開発)
  • 成果収穫の数値の公表はありません。ハウスの中の通信は目標の速さを満たしたとしています(総務省の事業での実証)。
  • 公表ページ総務省「地域社会DXナビ」の事例紹介(2025年3月)

ここがポイント前の年に試した遠隔操作のロボットの課題を踏まえ、自動で判定する形に進めた例です。

No.91 愛媛県漁協うわうみ支所(宇和島市):魚の食欲をAIが判断して止まる給餌機で、エサ代を約5%削減

  • 困っていたこと魚の養殖では経費の7割がエサ代です。時間で動く給餌機は魚の食欲に関係なくエサを落とすため、食べられずに海の底に落ちるエサが多くありました。
  • 作ったもの超音波のセンサーで魚の群れの動きを見て、AIが食べているかを判断してエサを止める給餌機を、時間で動く給餌機と並べて試しました。魚の重さを測るカメラなどのデータも、1つの管理の仕組みにまとめました。
  • AIの種類最適化(漁協・企業・大学などの共同での実証)
  • 成果2年間で計算すると、AIの給餌機の生け簀では、1つあたり約5%エサ代が減ったと公表しています。
  • 公表ページ愛媛県のデジタル実装プロジェクトの報告(2024年7月)

ここがポイント市販の機器を組み合わせ、漁協・企業・大学が一緒に効果を確かめた例です。

No.92 カゴメなど(福島県いわき市):トマトの傷や色、中身の質を1個ずつ測るAI選果機

  • 困っていたこと収穫のときは問題がなくても、運ぶ途中で傷んで捨てられるトマトがあり、人の目では見分けにくいことが無駄の原因になっていました。
  • 作ったものトマトを傷つけずに外と中の質を調べ、傷や色など20項目のデータを集めるAI選果機を、共同で作って集荷場に入れました。
  • AIの種類画像認識(共同開発)
  • 成果2024年9月時点で、20項目・400万点を超えるデータがたまったと公表しています。捨てるトマトを減らす効果は、これから確かめる段階です。
  • 公表ページカゴメなどの発表(2024年12月)

ここがポイント選果のデータをためて、栽培や流通につなげようとしている例です。効果はこれから確かめる段階です。

自治体・行政のAI開発事例(8件)

職員向けに、条例や手引きを読ませて答えさせる生成AIの例が多く見られます。住民向けのチャットボットや、道路の点検、保育所の入所選考の例もあります。

No.93 盛岡市:会計や福利厚生などの職員の問い合わせに、市の資料をもとに答える生成AI

  • 困っていたこと生成AIはもっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあり、専門的な業務では使いにくいとされていました。
  • 作ったもの国産の生成AIに、市の業務の資料を探して答えさせる仕組み(RAG)を組み合わせ、会計・福利厚生・システムの職員向けの問い合わせで試しています。
  • AIの種類生成AI(NECと共同での実証)
  • 成果数値の公表はありません。2024年11月から実証しています。
  • 公表ページ盛岡市とNECの発表(2024年12月)

ここがポイント生成AIのまちがいを心配して、市の資料をもとに答える形にした例です。まずは職員向けの問い合わせで試しています。

No.94 山陽小野田市(山口県):市議会の議事録や条例を参照して答える生成AIを、企業と一緒に作る

  • 困っていたこと人口が減り、市民の求めが多様になるなかで、生成AIで仕事を効率化し、人にしかできない仕事に力を注ぐことを目指していました。
  • 作ったもの市の協力のもとで企業が作った自治体向けの生成AIのアプリで、市議会の議事録や条例などを呼び出して答えます。よく使う質問は型として登録できます。
  • AIの種類生成AI(共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2023年10月から使っています。
  • 公表ページ山陽小野田市の公式サイト(2024年3月)

ここがポイント自治体と企業が一緒に作ったアプリを、市の仕事で使っている例です。

No.95 横浜市:法令集や選挙の本など約4,500ページをもとに答える、選挙事務の生成AI

  • 困っていたことふつうの生成AIでは、法律と過去の例に沿った正確さが求められる選挙の問い合わせに、応えきれないと感じていました。
  • 作ったもの法令集や選挙の本など約4,500ページ分のPDFを、機械が読みやすい形に整え、選挙の業務で使える生成AIの仕組み(RAG)を作りました。
  • AIの種類生成AI(NTT東日本の支援を受けて構築)
  • 成果調整を重ねて、約9割の回答精度になったと公表されています。
  • 公表ページ総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」第4版(2025年12月)

ここがポイントPDFの資料を機械が読みやすい形に整えるところから始めています。答えの精度は、調整を重ねて上げています。

No.96 渋谷区:区のサイトとよくある質問をもとに、手続きの質問へ多言語で答える生成AI

  • 困っていたこと区の手続きの案内を、より使いやすくすることを目指していました。
  • 作ったもの区のサイトとよくある質問をもとに答えを作り、関係するページを案内するチャットボットです。英語・中国語・フランス語・韓国語にも対応し、使った人の評価で答えの精度を上げていきます。
  • AIの種類生成AI
  • 成果数値の公表はありません。2025年3月から使っています。
  • 公表ページ渋谷区の公式サイト(2025年3月)

ここがポイント住民向けに、多くの言語で答える形にした例です。使った人の評価で答えを直していく仕組みも入れています。

No.97 戸田市(埼玉県):市のサイトを学んだ生成AIが、LINEや声の問い合わせに答える実証

  • 困っていたこと市民からの問い合わせへの対応を早くし、市役所の仕事も効率化することを目指していました。
  • 作ったもの市のサイトの内容を学ばせた生成AIのチャットボットに、声の聞き取りを組み合わせた仕組みです。2回目の実証では、英語と中国語への対応や、サイトが更新されると自動で学び直す機能を加えました。
  • AIの種類生成AI
  • 成果数値の公表はありません。2回の実証を行っています。
  • 公表ページ戸田市の公式サイト(2024年5月)

ここがポイント2回の実証を重ねて、機能を足していった例です。サイトが更新されると自動で学び直す工夫もしています。

No.98 相模原市:過去の議会答弁を学ばせた国産の生成AIで、答弁の原案を作る

  • 困っていたこと議会の答弁の原案づくりに、生成AIが使えるかを確かめることをテーマにしました。
  • 作ったものNECの生成AIで試しの環境を作り、過去の答弁のデータと書式を学ばせて、議会答弁の原案を作らせました。
  • AIの種類生成AI(NECと共同での検証)
  • 成果2024年6月の議会で使った職員への調査では、「一部を直して使った」11%、「要素を足して使った」21%、「構成だけ使った」23%、「使わなかった」45%でした。過去の答弁を学ばせると答弁らしい答えが得やすくなったとしています。
  • 公表ページ相模原市の発表(2024年7月)

ここがポイント使った職員の評価を、数字でそのまま公表している例です。「使わなかった」が45%という結果も、次の改善の材料になります。

No.99 今治市(愛媛県):民間の車にスマホを載せ、AIが道路の傷みを自動で見つける

  • 困っていたこと道路の見回りを原付バイクで行っていて、傷みを見つけられるのは1日10件ほどでした。市内をくまなく回れず、地図とカメラを使うやり方も手間がかかっていました。
  • 作ったものAIのアプリを入れたスマートフォンを、市内を走る民間の会社の車に載せ、道路の傷みを自動で見つけて一か所に集める仕組みです。
  • AIの種類画像認識(外部の会社のサービスを入れて構築)
  • 成果傷みを見つける件数が1日10件から130件に増えたと公表しています。導入費用は約192万円、運用の費用は約220万円としています。
  • 公表ページ愛媛県のサイトに載った今治市の取り組み(2024年12月)

ここがポイント民間の車を見回りに生かすという工夫の例です。費用まで公表している点も、ほかの自治体の参考になります。

No.100 郡山市(福島県):保育所の入所選考をAIで行い、年間690分の作業を7.5分に

  • 困っていたことそれまでのシステムでは、申し込みのデータを取り出したあとに手作業での変換が必要で、結果が出るまで年間690分かかっていました。
  • 作ったものサイバーエージェントのAIの研究組織が、東京大学との研究成果をもとに作った保育所の入所選考のシステムを入れました。入所の決まりを守りながら、入れる人数がいちばん多くなる組み合わせを探します。
  • AIの種類最適化
  • 成果一連の作業が、年間690分から7.5分になったと公表しています。
  • 公表ページサイバーエージェントの発表(2025年1月)

ここがポイント大学の研究をもとに作られたAIを、市の入所選考に取り入れた例です。手作業でのデータの変換にかかっていた時間が、大きく減っています。

教育のAI開発事例(3件)

いずれも文部科学省の事業として試された例で、学習の支援と先生の事務の支援にAIが使われています。

No.101 東京学芸大学の附属小・中学校:記述の答えを生成AIが評価し、先生に指導の案を示す

  • 困っていたこと記述や総合的な学習の評価は、先生によってばらつきやすく、一人ひとりに合った指導の準備にも時間がかかっていました。
  • 作ったもの児童生徒の記述の答えや授業での対話を、教科ごとの評価の物差し(ルーブリック)で生成AIが分析し、理解の度合いや、一人ひとりへの指導の案を先生に示す仕組みです。
  • AIの種類生成AI(文部科学省の事業での実証)
  • 成果聞き取りをした先生7人全員が、コメントは妥当で役に立ったと答えています。個別の指導の準備の時間は減りましたが、業務全体の時間の大きな削減には至っていないとしています。
  • 公表ページ文部科学省の調査研究の報告書(2025年4月)

ここがポイント先生による評価のばらつきを減らし、指導の準備を助ける例です。業務全体の時間までは減らせていないという結果も、そのまま報告されています。

No.102 TBSホールディングスと小中学校13校:ニュースと教科書をつなぎ、答えを教えずに考えさせる生成AI

  • 困っていたこと学校での学びと子どもの興味がつながらず、学ぶ内容を社会の出来事と結びつけて自分のこととして考えにくい、という課題がありました。
  • 作ったもの教科書の内容とつながるニュースを選んで示し、生成AIが答えを教えずに、子どもが自分で考えるように問いかけるチャットです。
  • AIの種類生成AI(文部科学省の実証事業)
  • 成果8割以上の子どもが、AIとの対話で授業の学びを深く考えられたと答えたと公表しています。
  • 公表ページ文部科学省の実証研究の資料(2026年5月)

ここがポイント生成AIに答えを教えさせるのではなく、考えるきっかけを作らせている点が特徴です。

No.103 宝塚市教育委員会:学校の事務のデータとつないだ生成AIで、通知表の所見の下書きなどを支える

  • 困っていたこと仕事のノウハウが個人にたまりやすく、情報の共有が進まないことが、学校の事務の負担を重くしていました。
  • 作ったもの生成AIを、学校の事務のシステムや共有フォルダのデータと安全につなぎ、子どもの様子のメモから通知表の所見の下書きを作ったり、マニュアルをすぐ調べたりできるようにしました。
  • AIの種類生成AI(文部科学省の実証事業)
  • 成果使う先生が312人から1,013人に増え、1週間の利用は1万1,656回になったと公表しています。操作の問い合わせへの対応の負担も大きく減ったとしています。
  • 公表ページ文部科学省の実証研究の成果報告会の資料(2026年3月)

ここがポイント学校の事務のデータと安全につなぐことで、先生の毎日の仕事に生成AIを組み込んだ例です。

中小企業・小規模事業者のAI開発事例(6件)

中小企業庁や中小機構の事例に載った、従業員が数十人から百数十人の会社の例です。業種はさまざまです。

No.104 ハンワホームズ(大阪・従業員59人):写真から庭や外まわりの完成図を作る生成AIを自社開発

  • 困っていたこと家づくりはお客さまが決めることが多く、負担が大きくなっていました。業界全体でも、設計の人材が減っていました。
  • 作ったもの家の外まわり(外構)の設計を自動で行う生成AIを自社で作り、写真から手軽に完成の姿を試せる無料のサービスとして公開しました。
  • AIの種類生成AI(自社開発)
  • 成果数値の公表はありません。一般向けに無料で提供を始め、会社向けも予定しているとしています。
  • 公表ページ中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(2024年12月)

ここがポイント59人の会社が生成AIを自社で作り、お客さま向けの無料サービスとして出している例です。

No.105 大津屋(福井市):ふるさと納税の返礼品を提案するAIを、スタートアップと共同開発

  • 困っていたことふるさと納税のサイトには返礼品があふれ、何を選べばよいか分からない人が多くいました。すべての人が無料で使える相談の窓口はありませんでした。
  • 作ったもの生成AI(ChatGPT)を使い、予算やジャンル、都道府県を伝えると、条件に合う返礼品を提案するサービスです。Webサイトとチャットで使えます。
  • AIの種類生成AI(AIのスタートアップと共同開発)
  • 成果数値の公表はありません。2023年9月に試しの版を公開しています。
  • 公表ページ中小機構「J-Net21」の事例(2025年10月)

ここがポイントAIのスタートアップと組んで、生成AIを使ったサービスを作った例です。

No.106 艶金(岐阜・従業員134人):熟練社員の2,000件分の判断を学ばせ、染色の色の検査をAIで補助

  • 困っていたこと染色の色の検査は、熟練者の目に頼っていて、若手を支える仕組みが必要でした。
  • 作ったもの過去2,000件分の熟練社員の判断(色を測ったデータ)を学ばせ、色が合っているかを自動で確かめる仕組みを入れました。
  • AIの種類予測
  • 成果数値の公表はありません。熟練者に近い判断が得られるようになり、若手の補助に使っているとしています。
  • 公表ページ中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(2024年12月)

ここがポイント熟練者の判断を学ばせたAIを、若手を支える道具として使っている例です。

No.107 富士クリーン(香川・従業員115人):発酵で出るガスの量をAIで予測し、設備の動かし方を改善

  • 困っていたことメタン発酵(微生物の働きでガスを作ること)の施設を、安定して動かすことが課題でした。
  • 作ったものAIなどを使ったデータの分析で、発生するガスの量を予測するシステムを完成させ、その予測をもとに、ガスを使う機器の動かし方を改善しました。
  • AIの種類予測
  • 成果予測の仕組み単体の数値の公表はありません。社内の二酸化炭素の排出を減らせたとしています。
  • 公表ページ中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(2025年1月)

ここがポイント予測の結果を、設備の動かし方の改善に結びつけた例です。

No.108 FIKA(東京の宿泊施設・従業員12人):多言語のAIチャットボットで、宿泊客の質問に自動で答える

  • 困っていたこと外国の宿泊客への対応や翻訳、メール・電話の問い合わせに時間がかかり、ほかの仕事に人を回せませんでした。対応が人によって違い、苦情も起きていました。
  • 作ったものフロントや予約についてのよくある質問に、多くの言語で自動で答えるAIチャットボットの環境を作りました。
  • AIの種類言葉を扱うAI
  • 成果スタッフ1人あたり最大180分の仕事が減り、朝夕の忙しい時間に常にいた2人を、接客などほかの仕事に回せたと公表しています。答えがそろったことで苦情も減ったとしています。
  • 公表ページ中小機構「省力化ナビ」の事例(2026年3月)

ここがポイント12人の宿泊施設でも、よくある質問に自動で答える仕組みで、人を接客に回せています。

No.109 群馬合金(群馬・従業員125人):似た形の部品をAIカメラで見分け、取り違えをなくす

  • 困っていたこと金属の鋳物の部品は似た形のものが多く、人の取り違えで別の部品を納めてしまうことがありました。手書きの日報の書き間違いも多くありました。
  • 作ったものAIを載せた画像センサー(市販の機器)を使って部品の型式を自動で見分ける装置と、生産の実績を見える化する自社製のツールを作りました。
  • AIの種類画像認識
  • 成果数値の公表はありません。型式の間違いがなくなり、お客さまとのトラブルを未然に防げたとしています。手書きの日報も不要になりました。
  • 公表ページ中小機構「省力化ナビ」の事例(2026年3月)

ここがポイント市販のAIの画像センサーを使い、自社の困りごとに合わせた装置にした例です。AIを一から作らなくても、組み合わせで解決できる場合があります。

↑ 業種の一覧に戻る

109件のAI開発事例から分かる共通点と、自社で検討するときの判断基準

ここまでの事例を読んで、「では、自社は何から考えればよいのか」と感じた方も多いと思います。ここでは、109件を数えて分かったことと、よくある誤解、筆者が関わった小さな開発の実例、検討の前に確かめたいことを整理します。

109件を型と成果で数えると

掲載した109件を、筆者が「型」「段階」「成果の数値」「作り方」で数えました(表④)。

スクロールできます
型件数本番で運用・提供実証・試験開発中・研究成果の数値あり
生成AI422216420
予測31209216
画像認識23174213
最適化75205
音声32101
言葉を扱うAI22002
型の公表なし10100
合計1096833857

数えて分かったことは、次の4つです。

  • いちばん多い型は生成AI(42件、約4割)です。 ただし、本番で使われているのは22件と約半分で、残りは実証や開発の段階でした。画像認識は23件のうち17件(約7割)が本番で使われています。新しい型ほど、試している途中の例が多いと言えそうです。
  • 成果を数値で公表していたのは57件(約半分)です。 そのうち6件は、見込みや試算の数値だけでした。残りの52件は、数値を公表していません。
  • 作り方は、外部の会社や大学と一緒に作る「共同開発」が45件でいちばん多く、自社開発が32件、外部の会社に頼んだり外部の仕組みを使ったりした例が11件、作り方を公表していない例が21件でした。
  • 109件のうち104件(約95%)は、2023年以降に公表された事例です。 これは、この記事が新しい事例を優先して選んだためで、開発の数そのものの増え方を示すものではありません。

うまくいった開発に共通する3つの条件

109件を読むと、本番で使われている事例や成果を公表している事例には、次の3つの共通点が見られました(筆者の整理です)。

  1. 対象を1つの業務に絞っている:会社全体を一度に変えるのではなく、出荷の検品(No.32)、発注(No.63・No.65)、問い合わせの下書き(No.54・No.61)のように、1つの業務から始めています。
  2. ためてきた自社のデータを使っている:取引の記録(No.52)、約130万件の健診データ(No.60)、約100万件の問い合わせの記録(No.61)、20の現場の工事データ(No.22)など、長年ためてきたデータがAIの材料になっています。
  3. 人の確認を残し、試してから広げている:最後の判断を人が行う形(No.20・No.59・No.61・No.75など)が見られ、本番の前に試験の期間を置いた例もあります。たとえば丸亀製麺(No.72)は2021年6月から段階的に試し、2023年2月に全店での採用を発表しました。東京海上日動(No.61)は2023年6月から試験運用し、2024年11月に本格的に導入しています。

よくある誤解①「AI開発は大企業だけのもの」

この記事には、従業員8人のタヤマスタジオ(No.10)、12人のFIKA(No.108)、伊勢の食堂のゑびや(No.71)など、小さな会社の事例も入っています。

小さな会社の事例には、大学や県の研究機関、国や自治体の事業と組んで作った例がいくつもあります。タヤマスタジオは岩手大学との共同研究と市の補助金で試し、中島合金(No.9)は開発会社の実証に参加し、愛媛県漁協うわうみ支所(No.91)は県のプロジェクトで試しています。市販のAIの機器を組み合わせて、自社用の仕組みにした例もあります(No.109)。

よくある誤解②「事例と同じ成果が自社でもそのまま出る」

公表された成果は、その会社のデータの量、業務のやり方、試した期間などの条件で出た結果です。条件が違えば、数値も変わります。

事例は「どの型のAIが、どんな課題に効いたか」を知るために使い、数値は自社で小さく試してから確かめるのが確実です。

よくある誤解③「生成AIがあれば開発はいらない」

ChatGPTのような生成AIは、そのままでも文章の下書きや要約に使えます。ただし、使い方には大きく3つの段階があります。

スクロールできます
段階内容向いている課題注意点
そのまま使う市販の生成AIに質問や指示をする文章の下書き、要約、アイデア出し社内の決まりや最新の数字は知らない
社内の資料とつなぐ規則集やマニュアルを読み込ませて答えさせる(RAG)社内の問い合わせ、手続きの案内資料が古いと、答えも古くなる
専用に作る自社のデータで学ばせたAIや、業務のシステムに組み込んだ仕組みを作る検査、予測、最適化など、決まった業務の自動化データの準備と、動かし続ける体制が要る

この記事の事例にも、「つなぐ」段階の例と「専用に作る」段階の例の両方があります。課題によって、どの段階まで必要かが違います。

筆者が関わった小規模なAI開発の実例

ここでは、この記事を書いたWebLeben(ウェブレーベン)が関わった開発のうち、公開している例を4つ紹介します。規模は小さいですが、大企業の事例とは違う「小さく始める」ときの参考になります。

S社(製造業):過去の見積もりから似た案件を探す仕組み(デモ版)

  • 困っていたこと全国の拠点から届く見積もりの依頼ごとに、過去の似た案件を探す手間がかかっていました。
  • 作ったもの見積もり依頼書のPDFを読み取り、書き方の違い(表記ゆれ)をそろえてから、2段階で似た案件を探す仕組みです。ブラウザの中だけで動き、データを外に送りません。
  • 段階まずデモ版として作り、いまは本開発を検討していただいている段階です。デモ版では、似た案件の探し方が現場で役に立つかを確かめることを優先し、生成AIなどの外部のAIはまだつないでいません。

ここがポイントAIを入れる前に、データの形と探し方を確かめる。これは、この記事の事例にも見られる「小さく試す」進め方です。

T店(食品の製造販売):レジのデータを生成AIとつなぐ土台

  • 困っていたこと何が利益につながっているかを、レジのデータから見えるようにしたいと考えていました。
  • 作ったものレジの売上データを書き出してクラウドに保存し、生成AI(ChatGPT)とつないで、保存したデータについて質問できる形にしました。あわせて、人件費を原価に入れるための、商品ごとの製造工程のシートを作りました。
  • 段階お店の方と一緒に、生成AIとつなぐところまで行いました。

ここがポイント大きなシステムを作らなくても、「データを1か所に集め、AIに聞ける形にする」だけで、次の一歩が見えてきます。

Webアプリ「ペットのココロ」:動画と音声を生成AIで読み解く

  • 作ったものスマートフォンで撮ったペットの動画と音声を、生成AI(GoogleのGemini)で読み解き、気持ちを推測して伝えるWebアプリです。
  • 使った技術画面はReactとTypeScript、ログインとデータの保存はSupabase、月額の課金はStripeを使っています。
  • 段階一般に公開しています。

ここがポイント筆者の経験では、生成AIを使ったサービスは、AIの部分より、ログイン・課金・データの保存など「周りの仕組み」を作る量のほうが多くなりました。

自社メディア:AIのニュースを記事にして自動で公開する仕組み

  • 作ったものAI各社の公式ブログや更新情報など、約30の情報源を1時間ごとに確かめ、まだ扱っていないニュースを生成AI(AnthropicのClaude)で記事にし、WordPressで公開する仕組みです。
  • 工夫ニュースの重要度に応じて、使うAIのモデルを使い分けています。
  • 段階運用中です。

ここがポイント「決まった手順を毎日くり返す仕事」は、生成AIとプログラムを組み合わせると、自動化しやすくなります。

自社でAI開発を検討するときのチェックリスト

事例を自社に当てはめる前に、次の10項目を確かめてみてください。「いいえ」が多い項目から整えると、検討が進めやすくなります。

  • □ 解決したい課題を、1つの文で言える
  • □ その課題に、毎月どのくらいの時間やお金がかかっているか分かっている
  • □ AIに学ばせる・読ませるデータ(画像・数字・文書)が手元にある
  • □ データの持ち出しや、個人情報の扱いのルールを確かめた
  • □ 同じ業種、または同じ型の事例を3件以上読んだ
  • □ まず試す範囲(1つの工程・1店舗・1つの部署など)を決めた
  • □ うまくいったかを判断する数字(時間・件数・精度など)を決めた
  • □ AIの答えを人が確かめる手順を残している
  • □ 動かし続けるための担当者(データの更新・問い合わせ対応)を決めた
  • □ 市販のサービスで足りないかを、先に比べた

AI開発事例に関するよくある質問(FAQ)

AI開発にかかる費用や期間は、事例からどこまで分かりますか?

事例からはっきり分かることは、多くありません。この記事の109件のうち、費用を公表していたのは今治市の1件だけでした(導入費用約192万円、運用の費用約220万円。No.99)。

期間も、開発にかかった月数まで書いている事例は多くありません。試してから本格的に使うまでの流れが分かる例では、1年から2年ほどかけて段階的に広げたものが目立ちます。

  • 丸亀製麺(No.72):2021年6月から段階的に試し、2023年2月に全店での採用を発表
  • 東京海上日動(No.61):2023年6月から試験運用し、2024年11月に本格導入
  • 中島合金(No.9):2021年12月から実証し、2023年3月に正式導入

一般的には、費用と期間は、作るものの大きさ、データを整える手間、外部に頼むか社内で作るかで大きく変わります。まず試す範囲を小さく決めてから計画を立てると、見積もりも比べやすくなります。

自社にデータが少なくても、AIは開発できますか?

できる場合があります。一般的には、次のような方法で、少ないデータから始めることができます。

  • すでに学習済みのAI(生成AIや画像認識のモデル)を土台にして、自社のデータは少しだけ足す
  • 不良品の画像が少ないときは、良品の画像だけを学ばせて「いつもと違うもの」を見つける(異常検知)
  • まずはデータをためる仕組みを作り、量がそろってから予測のAIを作る

ただし、予測のAIは、過去のデータの量と質で精度が大きく変わります。どのくらいのデータが要るかは、課題とAIの型によって違います。

ChatGPTなどの生成AIを使うことと、AIを開発することは何が違いますか?

生成AIを「そのまま使う」のは、できあがった道具を使うことです。AIを「開発する」のは、自社の課題に合わせて、データや社内のシステムと組み合わせた仕組みを作ることです。

その間に、生成AIを社内の資料とつなぐ(RAG)段階があります。この記事の自治体や金融機関の事例にも、この「つなぐ」段階の開発が含まれています(No.54・No.57・No.95など)。詳しくは、上の「よくある誤解③」の表を見てください。

「AI駆動開発」の事例とは違うものですか?

違うものです。「AI駆動開発」は、AIにプログラムを書かせるなど、ソフトウェアを作る作業そのものにAIを使うことを指します。

この記事で紹介しているのは、業務の課題を解くために「AIの仕組みを作った」事例です。ただし、AIの仕組みを作るときにAI駆動開発の方法を使うこともあり、2つは組み合わせて使われることもあります。

中小企業や小さなお店でも、AI開発はできますか?

できます。この記事にも、従業員8人のタヤマスタジオ(No.10)、12人のFIKA(No.108)、59人のハンワホームズ(No.104)など、小さな会社の開発事例があります。筆者が関わった小さなお店の例(T店)もあります。

小さな会社の事例には、次のような共通点が見られました。

  • 大学や県の研究機関、国や自治体の事業と組んでいる(No.10・No.91など)
  • 市販の生成AIやAIの機器を土台にして、自社用に組み合わせている(No.105・No.109)
  • 対象を1つの作業に絞っている(No.106の色の検査など)

開発は外部に頼むのと社内で作るのと、どちらがよいですか?

どちらがよいかは、社内にいる人と、作るものの大きさで決まります。

進め方向いているとき注意点
社内で作る社内にプログラムやデータに詳しい人がいる。小さく試したい担当者が辞めると、直せる人がいなくなる
外部に頼む(委託)社内に技術者がいない。精度や安全性が求められる何を作るかを自社で決めないと、目的からずれやすい
一緒に作る(共同)業務の知識は社内に、技術は外部にある役割とデータの扱いを、最初に決めておく

この記事の109件では、共同開発が45件でいちばん多く、自社開発が32件、外部の会社に頼んだり外部の仕組みを使ったりした例が11件、作り方を公表していない例が21件でした(筆者の分類)。大きな会社でも、外部の会社や大学と組んで作る形が多く選ばれています。

事例と同じ成果は、自社でも出せますか?

同じ数値が出るとは限りません。公表された成果は、その会社のデータ・業務・期間の条件で出たものです。

ただし、「同じ型のAIが、似た課題に効いた」という事実は、自社で試す価値があるかを判断する材料になります。まず小さな範囲で試し、自社の数字で確かめるのが確実です。

まとめ:AI開発事例は「業種」と「型」で探すと、自社に近い例が見つかる

要点

  • AI開発事例とは、自社の課題に合わせてAIの仕組みを作った例のことです。市販のサービスを入れただけの例と分けて読むと、自社に当てはめやすくなります。
  • 事例は「業種」と「6つの型」の2つで探すと、自社に近い例が見つかります。
  • 109件では生成AIの事例がいちばん多い(42件)一方、本番で使われている割合は、画像認識(約7割)のほうが高くなっていました。
  • 成果を数値で公表している事例は約半分です。数値はその会社の条件での結果なので、自社では小さく試して確かめるのが確実です。
  • 本番で使われている事例には、1つの業務に絞り、ためてきたデータを使い、人の確認を残しているものが目立ちました。

読者タイプ別の次の一歩

  • 経営者の方:自社で一番時間がかかっている業務を1つ選び、同じ業種の事例と、同じ型の事例を読み比べてみてください。
  • 現場の担当者の方:その業務で使っているデータ(画像・数字・文書)が、どこに、どんな形であるかを書き出してみてください。チェックリストの3番目と6番目が、検討の土台になります。
  • 情報を集めている会社員・学生の方:6つの型の表を手元に置き、ニュースで見かけたAIの事例がどの型に当たるかを考えてみてください。事例の見え方が変わります。

さらに理解を深めるために確認したい観点

  • 同じ型のAIでも、業種によって「何をデータにしているか」がどう違うか
  • 成果の数値が、どんな条件で測られたものか
  • 実証(試験)で終わった例と、本番の運用まで進んだ例では、何が違ったか
  • AIの答えを、最後に誰がどう確かめているか
小玉 健太
WebLeben代表|島根の中小企業向け AI導入・業務効率化支援
島根県松江市を拠点に、中小企業・小規模事業者のAI導入支援、業務効率化ツールの開発、AI研修、Web集客の支援を行っています。もとは日本料理店の料理人。2018年に独立し、これまでに40以上のSEO集客Webメディアサイトに携わってきました。しまね産業振興財団 よろず支援拠点 IT専門コーディネーター、しまねソフト研究開発センター(ITOC)デジタル化推進アドバイザー、邑南町しごとづくりセンター IT支援コーディネーター(2022年〜)。生成AIパスポート(GUGA)取得。相談対応は年間50事業者以上、専門家派遣は年間約12件。

AI活用・業務効率化でお困りではありませんか?

「何から始めればいいか分からない」
「自社に合う進め方が知りたい」
「構想はあるけど、まだ要件が固まっていない」

そんな段階でも大丈夫です。

WebLebenでは、AI活用支援、業務効率化ツール開発、Webアプリ開発、生成AI研修まで一貫して対応しています。

  • AIをどう業務に取り入れるべきか相談したい
  • 自社に合った進め方を知りたい
  • 業務効率化や自動化の相談をしたい
  • WebシステムやWebアプリ開発を相談したい
  • まずは話だけ聞いてみたい

初回のご相談は無料です。その場で何かを決めていただく必要はありません。

お困りのことがあれば、ぜひご相談ください。

メールでのご連絡には、通常3〜5営業日以内に返信します。

記事の作り方と、生成AIの使用について

ウェブレーベンの記事は、代表 小玉健太が企画・構成し、公開の判断と最終責任を負っています。2026年3月以降に公開した記事では、下書きの作成に生成AI(ChatGPT・Claude・Gemini)を使用しています。それ以前の記事では使用していません。

  • AIに任せた範囲:構成案の候補出し、下書きの作成、表現の整理、アイキャッチ画像の作成
  • 人が行った範囲:企画の決定、支援現場での経験・自社データの提供、事実確認、公開の判断と最終責任
  • 使っている理由:下書きにかかる時間を短くし、その分を取材と事実確認に充てるためです

記載している数値・固有名詞・制度は、公式資料で確認しています。誤りにお気づきの際はお問い合わせからご指摘ください。

シェアして頂けると励みになります!
  • URLをコピーしました!
目次