生成AIの活用事例33選|文章・要約・社内検索・画像・プログラムをやること別に整理

生成AIの活用事例|文章・要約・検索・画像・プログラムを、やること別に整理
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「生成AIって、実際の仕事では何に使われているの?」「自分の作業にも使えるの?」。ChatGPTなどを少し触ってみたものの、使いどころが分からないという声はよく聞きます。

生成AIの活用事例とは、文章・画像・プログラムなどを作るAI(生成AI)に、仕事や生活の作業の一部を任せた具体例のことです。公表されている事例を見ると、使い方は「文章の下書き」「会議や通話の要約」「翻訳」「社内の文書を探して答える」「お客さまの質問に答える」「画像や動画を作る」「プログラムを書く」といった作業に集中しています。総務省の令和8年版 情報通信白書(2026年7月公表)でも、日本の企業で生成AIの活用がいちばん多い業務は「議事録・メール作成補助」でした。

この記事では、会社・自治体・病院などが公表した33件の事例を、「生成AIに何をさせたか」で分けて紹介します。各事例には、成果が本番の実績か、見込み・試算か、実証(試験)かを書き、元の発表ページへのリンクを付けました。あわせて、同じことを自分で試すときの頼み方の型と、始める前の注意点もまとめています。

この記事で分かること

  • 日本の企業と個人が、生成AIを何に使っているか(公的な調査から)
  • 文章・要約・翻訳、社内検索・問い合わせ対応、企画・画像・動画、プログラム・データ分析・AIエージェントの事例
  • 同じことを試すときの頼み方の型と、確かめる点
  • 事例に共通する条件と、個人情報・著作権・間違いへの注意

情報は2026年9月時点のものです。サービスの名前や機能は変わりやすいため、使う前には元の発表ページや各サービスの公式情報で確かめてください。

目次

生成AIの活用事例とは?日本の企業と個人がよく使う作業

事例を読む前に、「生成AIの活用事例」が何を指すか、日本でどんな作業に使われているかを整理します。自分の作業がどの種類に当たるかが分かると、このあとの事例から自分に近いものを探しやすくなります。

生成AIの活用事例とは:生成AIに作業の一部を任せた具体例

生成AIは、指示(プロンプト)に応じて、文章・画像・音声・プログラムなどを新しく作るAIです。代表的なサービスに、ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Claude(Anthropic)、Microsoft 365 Copilot があります。

生成AIの活用事例は、こうした生成AIを使って「下書きを作る」「長い文章を短くまとめる」「資料を探して答える」などの作業を任せ、時間を減らしたり、質をそろえたりした具体例です。多くの事例では、生成AIが作ったものを人が確かめてから使っています。

従来のAIの活用事例との違い

AIの活用事例には、生成AIではないAI(従来のAI)のものも多くあります。たとえば、カメラの画像から不良品を見分ける検査や、売れ行きの予測です。従来のAIは「見分ける・予測する」のが得意で、生成AIは「作る・まとめる・言葉で答える」のが得意です。

比べる点生成AIの活用事例従来のAIの活用事例
AIがすること文章・画像・プログラムなどを作る、まとめる、言葉で答える画像や数字から見分ける、予測する
よくある例議事録の要約、メールの下書き、社内の質問への回答、広告の画像製品の検査、需要の予測、不正の検知
始め方市販のサービスを契約すれば、その日から試せることが多い自社のデータを集めて学習させる準備が要ることが多い
注意することもっともらしい間違い、入力する情報、著作権データの量と質、判断の根拠の説明

この記事では、生成AIの事例だけを扱います。従来のAIも含めた事例は、AI活用事例76選で、身近な例・業界別にまとめています。

データで見る生成AIの使いみち(令和8年版 情報通信白書)

総務省の令和8年版 情報通信白書(個人の利用)(2026年7月公表)によると、日本で生成AIのサービスを使ったことがある人は58.8%で、前の年度の調査の26.7%から大きく増えました(2025年度の調査。今回から15〜19歳も対象)。使う目的は、日本ではいちばん多いのが「情報の理解」で、次に「文書作成や校正」「翻訳」が続きました。

企業については、同じ白書の企業の利用の章によると、従業員10名以上で、2025年までにデジタル化の取り組みを始めた企業の管理職以上に聞いた調査(日本は515件)で、自社の何らかの業務で生成AIを使っていると答えた割合は86.4%でした(「わからない」と答えた企業を除いて計算)。業務の種類ごとに見ると、次の順でした。

業務の種類(白書の分類)生成AIを活用している企業の割合(日本)この記事で対応する節
議事録・メール作成補助約7割(いちばん多い)文章・要約・翻訳
営業・販売約6割社内検索・問い合わせ対応(営業・接客の準備)
社内ヘルプデスク約5割社内検索・問い合わせ対応(社内の文書検索)

「導入の効果を感じる」と答えた割合も、「議事録・メール作成補助」が約7割で、ほかの業務より高い結果でした。一方で白書は、米国・ドイツ・中国の企業では、社内で完結する使い方にとどまらず、お客さま向けの製品・サービスにも生成AIを使う動きが進んでいると指摘しています。

個人の生成AI活用:情報の理解・文書作成・翻訳・学習

仕事だけでなく、個人の生活や学習でも生成AIは使われています。同じ令和8年版 情報通信白書(個人の利用)によると、文章を作る生成AI(テキスト生成AI)を使ったことがある人は55.0%で、画像・動画・音声・音楽・プログラムを作る生成AIを使った人の割合は、それより低い結果でした。個人の活用は、まず文章から始まっていることが分かります。

年齢別に見ると、若い世代ほど定期的に使っている割合が高く、15〜19歳では翻訳や学習・教育支援のために定期的に使う割合が特に高い結果でした。日常の行動や判断の相談に定期的に使う人も、15〜19歳と20〜29歳では20%を超えています。

一方、使っていない人に理由を聞くと、文章を作る生成AIでは「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%、「使い方がわからない」が38.8%でした。「使い方がわからない」の割合は、調査した4か国の中で日本が最も高い結果です。

個人で試しやすい使い方の例です。

  • 情報の理解:難しいお知らせや説明書を貼り付けて、「中学生にも分かる言葉で、要点を3つに」と頼む
  • 文書作成:学校や地域の連絡文、お礼の手紙の下書きを作ってもらい、自分の言葉に直す
  • 翻訳:海外の商品の説明や旅行先の案内を訳してもらい、分からない言葉を質問する
  • 学習:資格の勉強で、覚えたことを説明して「間違っているところを指摘して」と頼む

体や心の不調、お金、法律のような相談では、生成AIの答えを参考の1つにとどめ、専門家に確かめてください。

生成AIでできる作業の種類と、向いている場面(早見表)

事例は、生成AIに「何をさせたか」で見ると整理しやすくなります。この記事の並べ方の早見表です。

スクロールできます
作業の種類生成AIがすること向いている場面人が確かめること
文章の下書き目的と材料から文章の案を作る広報文、あいさつ文、SNSの投稿、メール事実・数字・言い回し
要約・議事録長い文章や会議の文字起こしを短くまとめる会議、通話の記録、長い資料抜けや取り違え
翻訳・多言語別の言語に直す、言語に合わせて答える観光の案内、字幕、海外向けの資料固有名詞、文化に合った言い方
社内の文書検索社内の規程やマニュアルを探して答える社内ヘルプデスク、照会への回答参照元の資料、古い情報
問い合わせ対応お客さまや住民の質問に答える、通話を要約するコールセンター、自治体の窓口誤った案内、個人情報
企画・アイデア案を多く出す、調べて比べる商品企画、新規事業、会議の準備選ぶ・決めるのは人
画像・動画・音声画像、映像、声を作る広告、SNS、紹介動画著作権・肖像、表示のルール
プログラム・データ分析コードを書く、表を集計するシステム開発、集計・分析動作、計算の正しさ、セキュリティ
AIエージェント複数の手順を自分で進める調べてまとめる、定型の処理途中の判断と最後の結果

この記事の事例の選び方と読み方

この記事の事例は、次の決まりで選びました。

  • 会社・団体の発表、官公庁の資料、導入先の実名が出ているサービス会社の導入事例のどれかで確かめられるもの
  • 成果は発表の数字をそのまま書き、「実績」(本番で出た結果)、「見込み・試算」(利用状況などから計算した値)、「実証」(試験や実験の結果)を分ける
  • 同じサイトの「AI活用事例」「AI開発事例」の記事で紹介した会社は、この記事では取り上げない

成果の数字は、会社ごとに測り方が違います。「議事録の作成時間が約90%減った」と「全庁で年間約1,800時間減る見込み」は、比べる対象も期間も違うため、数字の大きさをそのまま比べないようにしてください。

文章・要約・翻訳の生成AI活用事例

白書で活用がいちばん多かった「議事録・メール作成補助」に当たる事例です。文章を作る・まとめる・別の言語に直す作業は、生成AIが最も得意とするところで、始めやすい使い方でもあります。

文章の下書きを作る生成AI活用事例

都城市:あいさつ文などの文書づくりに全庁で生成AI、年間約1,800時間減の見込み

  • 使ったもの:自治体向けの生成AI「自治体AI zevo」。宮崎県都城市がシフトプラス株式会社と共同で開発し、行政専用のネットワーク(LGWAN)の中で使っています。
  • 使い方:あいさつ文などの文書の作成・校正・要約に、全庁の職員が使っています。
  • 成果:実際の利用状況から推計して、全庁で年間約1,800時間の削減が見込まれる、としています(見込み・試算)。
  • 公表ページ:総務省「先行団体における生成AI導入事例集」(2024年7月)

ここがポイント:自治体は住民の情報を扱うため、行政専用のネットワークの中で使える生成AIを選んでいます。「どこで動く生成AIか」も、選ぶときの大事な条件です。

共同ピーアール:プレスリリースの下書きと報道の論調分析を自動で作る

  • 使ったもの:自社の広報支援ツール「SAKAE」に、AWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を組み込みました。
  • 使い方:これまでに集めた記事のデータをもとに、顧客企業のプレスリリースの下書きと、メディアの論調の分析を自動で作ります。
  • 成果:よく使う人では、論調分析の工数が60%減・1日2時間、リリースの作成が工数33%・1日3時間減りました(実績)。
  • 公表ページ:AWS「生成AI事例集」(2025年6月版)

会議・通話・長い文書を要約する生成AI活用事例

当別町:AI議事録とChatGPTで、議事録づくりが2〜3時間から30分ほどに

  • 使ったもの:会議の音声を文字にする「AI議事録」と、ChatGPTを使う「LoGoAIアシスタント」。
  • 使い方:北海道当別町では、文字にした会議の内容を生成AIで要約し、議事録を作っています。
  • 成果:導入前は議事録の作成に2〜3時間かかっていたのが、30分ほどで済むようになったと職員が実感しています(実績。職員の実感)。
  • 公表ページ:総務省「先行団体における生成AI導入事例集」(2024年7月)

フォスター電機:全社向けの生成AI基盤で、議事録の作成時間を約90%減らす

  • 使ったもの:音響機器メーカーのフォスター電機が、Amazon Bedrockをもとに作った全社向けの生成AI基盤「FaiS」。
  • 使い方:会議の議事録の作成に使っています。
  • 成果:手作業と比べて、議事録の作成時間を約90%減らしました(実績)。
  • 公表ページ:AWS「生成AI事例集」(2025年6月版)

J:COM:電話の応対を生成AIで要約し、月1,500時間以上の作業を減らす

  • 使ったもの:Googleの生成AIモデル「Gemini」。全国のカスタマーセンターの電話応対に入れています。
  • 使い方:お客さまとの通話の内容を要約し、応対の記録を作ります。問い合わせの内容の分類にも使っています。
  • 成果:通話の要約で、月1,500時間以上(オペレーター約10名分)の作業を減らし、お客さまの待ち時間の改善にもつながっています(実績)。
  • 公表ページ:JCOM株式会社の発表(2025年4月)

ここがポイント:通話の後の記録づくりは、コールセンターで時間がかかる作業の1つです。要約で浮いた時間が、次のお客さまの待ち時間の短縮に回っています。

翻訳・多言語対応の生成AI活用事例

熱海市:観光の情報発信の翻訳を生成AIで行い、翻訳の工数が約12分の1に

ウェイブ:アニメの字幕の翻訳を、外注の7日から社内の2時間に

  • 使ったもの:Amazon Bedrock(英語とフランス語で、それぞれ別の会社の生成AIのモデルを使い分け)。
  • 使い方:電子コミック・アニメの配信サイトを運営するウェイブが、配信するアニメの外国語の字幕づくりを、外注から社内の作業に切り替えました。
  • 成果:外注で7日かかっていた翻訳が、社内の作業で2時間になりました(実績)。
  • 公表ページ:AWS「生成AI事例集」(2025年6月版)

Osaka Metro:4つの言語で案内する生成AIのロボットを駅に置く

  • 使ったもの:NTTの生成AI「tsuzumi」などを使った対話・案内ロボット「ugo」。
  • 使い方:駅で、お客さまの話す言語に合わせて、日本語・英語・中国語・韓国語で案内や回答をします。
  • 成果:梅田駅での社会実験(2025年1月15日〜3月15日)で6,000件を超える応対があり、駅の放送に反応してしまうなどの課題も分かりました。夢洲駅で実験を続けています(実証)。
  • 公表ページ:Osaka Metroの発表(2025年4月)

ここがポイント:成果だけでなく、「駅の放送に反応してしまう」といった課題も公表しています。実証の結果は、うまくいった点と課題の両方を見ると参考になります。

文章・要約・翻訳を自分で試すときの頼み方の型

事例と同じことを、市販の生成AIで小さく試すときの頼み方の例です。どれも「目的」「読む人」「材料」「形式」を伝えるのが基本です。出てきた文章は、そのまま使わずに人が確かめます。

文章の下書きを頼む型

「次の材料をもとに、取引先に送る○○のお知らせ文の下書きを作ってください。読む人は取引先の担当者です。ていねいな言い方で、要点を先に書いてください。材料:(日時・場所・変更点などの箇条書き)」

材料を箇条書きで渡すと、生成AIが事実を補って作ってしまうことが減ります。日付・金額・名前は、できあがった文章で1つずつ元の材料と照らし合わせます。

要約・議事録を頼む型

「次の会議の文字起こしを、①決まったこと ②次にやること(担当と期限) ③決まらなかったこと、の3つに分けてまとめてください。書かれていないことは足さないでください。」

「書かれていないことは足さない」と伝えるのが大事です。要約は、元の記録にない内容が混ざっていないかを、発言した本人か会議に出た人が確かめます。

翻訳を頼む型

「次の観光案内を、初めて日本に来る英語圏の旅行者向けに英語に訳してください。地名はローマ字のままにし、日本特有の言葉には短い説明を付けてください。」

誰が読むかを伝えると、言葉の選び方が変わります。固有名詞や料金などは、訳した後に元の文と照らし合わせます。

社内検索・問い合わせ対応の生成AI活用事例

白書の分類では「社内ヘルプデスク」「営業・販売」「カスタマーサポート」に当たる事例です。生成AIに社内の資料を読み込ませて、その資料にもとづいて答えさせる仕組みは、RAG(ラグ:検索拡張生成)と呼ばれます。

社内の文書を探して答える生成AI活用事例(RAG)

損保ジャパン:社内の照会に、生成AIが資料つきで回答案を作る

  • 使ったもの:生成AIを使った照会回答支援システム「おしそんLLM」(社内で開発)。
  • 使い方:営業店や本社に寄せられる年間67万件の照会に対して、会社のマニュアルやQ&Aを学んだAIが、回答案を作ります。
  • 成果:2024年度の試験では、AIが回答できる照会(全体の約6割)で、業務時間を約4割減らす効果が確かめられ、2025年6月から全国の営業店で使い始めました(実証の結果をもとに本番へ)。
  • 公表ページ:損害保険ジャパンの発表(2025年7月)

三井住友フィナンシャルグループ:約130万件の社内規程・マニュアルを生成AIで横断して探す

  • 使ったもの:社内向けのAIアシスタント「SMBC-GAI」に、RAGの機能を加えました。
  • 使い方:社内規程や通達、業務マニュアルなど約130万件のファイルを、1つの画面で横断して探し、答えを受け取れます。回答には参照元の資料が示されます。
  • 成果:まず三井住友銀行の従業員向けに導入しました。時間の削減などの効果の数字は、発表にはありません(導入の発表)。
  • 公表ページ:三井住友フィナンシャルグループの発表(2025年10月)

ここがポイント:回答に「どの資料のどこを見たか」を示すことで、社員が元の資料を開いて確かめられます。社内検索の仕組みでは、この確かめやすさが信頼につながります。

DeNA:社内のITの質問に答えるAIの正答率を、50%前後から80%に上げる

  • 使ったもの:社内のAIヘルプデスク「Findout」(RAG)。
  • 使い方:パソコンの操作や申請の手続き、アカウントなど、社内のITについての質問に、社内の情報を参照したAIが答えます。
  • 成果:資料の整え方や検索の工夫を重ね、50%前後だったAIの正答率が、2025年10月時点で80%になりました(実績。社内のテストでの評価)。
  • 公表ページ:DeNA Engineering のブログ(2025年10月)

ここがポイント:社内検索のAIは、入れた直後から正しく答えるとは限りません。答える元になる資料の書き方を直し続けたことが、正答率の改善につながっています。

お客さま・住民の問い合わせに答える生成AI活用事例

春日井市:市のホームページの情報で答える生成AIチャットボットを公開で実験

  • 使ったもの:生成AIのチャットボット「miibo」。
  • 使い方:愛知県春日井市が、子育て・教育の分野の市のホームページの情報を読み込ませたチャットボットで、市民の質問に答える公開実験を1か月行いました。
  • 成果:利用者のアンケートで、約7割(70.3%)が「回答を得られた」と答えました(実証)。
  • 公表ページ:春日井市「2024年度実証実験報告書」

江津市:市民の質問に24時間答える生成AIチャットボットを試験運用

  • 使ったもの:生成AIを使ったチャットボット(製品名の記載なし)。
  • 使い方:島根県江津市が、市のホームページに載っている情報と寄せられた質問をもとに、手続きや制度などの質問に生成AIが答えるチャットボットを、2024年8月に試験運用として始めました。
  • 成果:お知らせの時点では、効果の数字は公表されていません(試験運用)。
  • 公表ページ:江津市「生成AIを活用したチャットボット導入のお知らせ」(2024年8月)

ここがポイント:住民向けのチャットボットは、答えの元を「市のホームページに載っている情報」に絞っています。答えの範囲を決めておくと、根拠のない回答を減らしやすくなります。

自治体・学校・病院の生成AI活用事例

奈良市:文章の作成・要約・校正を中心に、半年で約17,200時間を減らす

  • 使ったもの:全職員が使える生成AIのサービス(製品名の記載なし)。
  • 使い方:文章の作成・要約・校正を中心に、議事録や説明資料(想定問答を含む)づくりにも使っています。
  • 成果:2025年度の下半期で、約17,200時間(約17.5人月分)の業務時間を減らしました(実績。時間は導入したサービスで計算した値)。
  • 公表ページ:奈良市「令和7年度 奈良市AI活用の取組について」(2026年4月)

藤田医科大学病院:退院時の書類の下書きを生成AIで作り、3か月で約1,000時間を短縮

  • 使ったもの:生成AIを使った「退院時サマリー作成支援システム」(株式会社FIXERと共同開発)。
  • 使い方:電子カルテの情報から、生成AIが退院時サマリー(入院中の経過をまとめた書類)の下書きを作り、医師が直して仕上げます。
  • 成果:1件に10〜15分かかっていた書類づくりが、数回のクリックで済むようになり、導入後3か月の短縮時間は累計で約1,000時間になりました。医師の92%が「時間短縮、業務改善につながった」と答えています(実績)。
  • 公表ページ:藤田医科大学の発表(2025年5月)

ここがポイント:医療の書類は、生成AIが下書きを作り、最後は医師が確かめて仕上げる形です。医療や健康にかかわる判断を生成AIに任せているわけではありません。

岩倉市の中学校:学校の調査結果の分析を、1〜2時間から20分程度に

  • 使ったもの:教育向けの生成AIチャット「Education Chat」(ベネッセコーポレーション)。文部科学省の実証事業の中で使いました。
  • 使い方:愛知県岩倉市の中学校で、毎学期行う「学校風土調査」の結果の分析と、対応策の検討に使いました。
  • 成果:分析に1〜2時間かかることもあった作業が、生成AIの答えを直す時間も含めて20分程度になりました(実証。1人の教員の例)。
  • 公表ページ:文部科学省「生成AIの校務での利活用に関する実証研究 成果報告書」(2025年3月)

営業・接客の準備の生成AI活用事例

かんぽ生命:お客さま役を生成AIが演じる、営業の練習(ロールプレイ)

  • 使ったもの:エクサウィザーズの「exaBase ロープレ」。生成AIの技術を使ったロールプレイのサービスです。
  • 使い方:法人営業の社員が、生成AIが演じるお客さま役を相手に商談の練習をし、AIが練習の内容を評価します。
  • 成果:時間や場所を問わず、1人でも練習できるようになり、2025年5月から全支店の法人営業の部門で使い始めました。効果の数字は発表にはありません(導入の発表)。
  • 公表ページ:かんぽ生命保険の発表(2025年5月)

日立情報通信エンジニアリング:営業資料の下書きやメールに生成AI、約8割が効率化を実感

  • 使ったもの:ChatGPTをもとにした社内向けの生成AIと、Microsoft 365 Copilot。
  • 使い方:営業部門で、営業資料の下書き、メールの文面、調べた結果のまとめなどに使い、若手社員が中心になって勉強会で使い方を広げました。
  • 成果:営業部門の調査で、約8割が「業務の効率化を実感した」と答えました(実績。社内のアンケート)。
  • 公表ページ:日立情報通信エンジニアリングの発表(PR TIMES STORY、2025年5月)

ここがポイント:道具を入れるだけでなく、社内の勉強会で「どう頼めばよいか」を共有したことが、使う人を増やしています。

社内検索・問い合わせ対応を自分で試すときの頼み方の型

社内の資料を読み込ませる仕組みがなくても、資料を貼り付けて「この資料だけにもとづいて答えて」と頼むと、社内検索に近い使い方を小さく試せます。

「次の社内規程だけにもとづいて、質問に答えてください。規程に書かれていないことは『規程に記載がありません』と答え、答えの根拠になった条文の番号を示してください。質問:(例:出張の日当は何日目から出ますか)」

お客さま向けに使う前に、社内で「答えられない質問」と「間違えやすい質問」を集めて試し、誤った答えが出ないかを確かめます。個人情報や社外秘の資料を入れてよいかは、使うサービスの設定と社内のルールで先に決めておきます。

企画・画像・動画の生成AI活用事例

アイデアを出す、調べて比べる、画像や映像を作る、といった「作る」側の事例です。案を多く出すのは生成AIの得意なところですが、どれを選ぶかを決めるのは人です。

企画・アイデア出しの生成AI活用事例

キリンホールディングス:過去の議事録などを読み込ませた「AI役員」で、会議の前に考えを練る

  • 使ったもの:過去10年分の取締役会や経営戦略会議の議事録、社内データ、外部の最新情報を読み込ませ、財務・マーケティングなど役割の違う「AI役員」を置いた「CoreMate」。
  • 使い方:経営戦略会議に議題を出す予定の社員が、事前の壁打ち(考えを話して練ること)に使います。
  • 成果:多様な経営の視点を取り込み、資料の精度も上がるなど、生産性の向上につながるとしています(数字の公表なし)。
  • 公表ページ:総務省「令和8年版 情報通信白書」(企業の利用の章、2026年7月)

MIXI:社内で作ったカスタムGPTで、海外版アプリの企画業務を月約28時間減らす

  • 使ったもの:ChatGPT Enterprise(企業向けのChatGPT)と、社内で作った企画用のカスタムGPT(目的に合わせて設定したChatGPT)。
  • 使い方:写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の海外版の企画業務に使っています。
  • 成果:企画業務で月約28時間の工数を減らしました(実績)。全社の利用状況からは、月約17,600時間の削減を見込んでいます。
  • 公表ページ:MIXIの発表(2025年8月)

シスラボ:新サービスの企画の調べものを、2時間から2分に

  • 使ったもの:Amazon Bedrock(生成AIが手順を進める「Agent」の機能)。
  • 使い方:新しいサービスを企画するときの、競合サービスの調査と比べる表づくりを、生成AIで自動にしました。
  • 成果:企画ごとに2時間ほどかかっていた調査・分析が、98.3%減の2分になりました(実績)。
  • 公表ページ:AWS「生成AI事例集」(2025年6月版)

志木市:アイデア出しに1日かかっていたものが、1時間未満でできたという声

  • 使ったもの:自治体向けの生成AI「自治体AI zevo」。
  • 使い方:埼玉県志木市が試験的に使い、文章の案づくりや要約に加えて、アイデア出しにも使いました。
  • 成果:試験に参加した職員の84%が「業務効率が向上する」と答え、アイデア出しで1日かかるものが1時間未満でできたという意見もありました(実証)。
  • 公表ページ:総務省「先行団体における生成AI導入事例集」(2024年7月)

画像・デザインの生成AI活用事例

ピジョン:ベビーフードのパッケージ案を、1週間で約100案

  • 使ったもの:パッケージデザインを作る生成AI「CrepoパッケージデザインAI」(株式会社プラグ)。
  • 使い方:ベビーフード「ぎゅぎゅっと野菜」のパッケージを考える最初の段階で、生成AIでデザイン案を作り、各部門の担当者と話し合って方向を決めました。
  • 成果:ふだんはデザイナーが2週間で5案ほどを出すところ、1週間で約100案を出せました。方向が決まった後は、デザイナーがイラストやデザインを作り直して仕上げています(実績。2025年5月発売の商品)。
  • 公表ページ:プラグの発表(PR TIMES、2025年4月)

ここがポイント:生成AIの案は「話し合いの材料」として使い、最後の仕上げは人のデザイナーです。案を多く出す段階と、仕上げる段階を分けています。

コニカミノルタ:生成AIで作ったキービジュアルのページで、セミナーの申込が過去平均の約3倍

  • 使ったもの:アドビの画像生成AI「Adobe Firefly」と、デザインの印象を評価する自社のAI。
  • 使い方:セミナーの案内ページに使うキービジュアル(メインの画像)を、Fireflyで短い時間に4案作り、自社のAIで評価して決めました。
  • 成果:決めた画像を使ったセミナーの案内ページから、過去の平均の約3倍の申込がありました(実績。1回のセミナーの結果)。
  • 公表ページ:コニカミノルタ「生成AI作成画像のデザイン評価事例」

アドバン:足りない画像素材を生成AIで補い、素材の費用がおよそ50%減

  • 使ったもの:Adobe Firefly(Photoshop の生成拡張、Illustrator の生成再配色など)。
  • 使い方:福岡のWeb・広告制作の会社が、画像素材の足りない部分を作ったり、配色の案を出したりするのに使っています。
  • 成果:素材の購入などの費用はおよそ50%減り、素材を選んで加工する時間は半分以下になった、と担当者が話しています(実績。担当者の実感)。
  • 公表ページ:アドビの導入事例(2024年3月)

動画・音声の生成AI活用事例

テレビ朝日:映像を全編生成AIで作ったテレビCMを、地上波で放送

  • 使ったもの:生成AI(ツール名の記載なし)。社内の「AIクリエイティブスタジオ」が制作しました。
  • 使い方:サントリー「GREEN DA・KA・RA」の30秒のテレビCMの映像を、全編生成AIで作りました。
  • 成果:2026年8月から地上波で放送しました。作ったのは映像だけで、文字・音声・ナレーションにはAIを使っていない、と明記しています。効果の数字は発表にはありません(実績)。
  • 公表ページ:テレビ朝日の発表(PR TIMES、2026年8月)

星企画:地方の広告会社が、シナリオ・動画・ナレーションまで生成AIでテレビCMを作る

  • 使ったもの:生成AI(ツール名の記載なし)。
  • 使い方:愛媛県松山市の広告会社が、地元の野球チーム「愛媛マンダリンパイレーツ」のイメージCMを、シナリオ・動画・ナレーションのすべてを生成AIで作りました。
  • 成果:撮影がいらなくなり、ロケハン(撮影場所の下見)から撮影、出演者との調整までの工程をなくして、短い納期で作れた、としています。時間や費用の数字は発表にはありません(実績)。
  • 公表ページ:星企画の発表(2025年8月)

ここがポイント:動画・音声の事例は、公表されている効果の数字がまだ少ない分野です。どの部分に生成AIを使い、どこに使っていないかを明記している発表は、読む側にとって判断しやすくなります。

企画・画像を自分で試すときの頼み方の型

アイデアを出してもらう型

「○○(商品・催し)の名前の案を20個出してください。対象は△△の人です。案ごとに、込めた意味を1行で添えてください。」

多く出してもらってから、人が3つほどに絞り、その理由を言葉にします。似た名前の商標や、既存の商品名と重ならないかは、別に調べます。

画像を作ってもらう型

「SNSに載せる、秋の新メニューの告知用の画像を作ってください。木のテーブルに置いた温かいスープ、やわらかい自然光、文字は入れない、正方形。」

作った画像は、実在の人物・キャラクター・ロゴに似ていないかを見ます。使うサービスの利用規約で、仕事での利用が認められているかも確かめます。

プログラミング・データ分析・AIエージェントの生成AI活用事例

プログラムを書く、データを集計・分析する、いくつもの手順を生成AIが自分で進める(AIエージェント)、という使い方の事例です。白書でも、米国や中国の企業では研究・商品開発やお客さま向けのサービスでの活用が進んでいると紹介されており、これから広がる分野です。

プログラミングの生成AI活用事例

TIS:GitHub Copilotを入れ、8割以上が生産性の向上を実感

  • 使ったもの:プログラムを書くのを手伝う生成AI「GitHub Copilot」。
  • 使い方:システム開発の会社TISが、開発部門に導入し、使っている人へのアンケートで効果を測りました。
  • 成果:23部門119名の回答で、8割以上が生産性の向上を、約7割が品質の向上を実感しています(実績。利用者の実感)。
  • 公表ページ:TISの技術情報サイト Fintan(2024年9月)

DMM.com:開発を任せるAIとレビューのAIを組み合わせ、チームの開発量が約1.7倍に

  • 使ったもの:開発の作業を任せられるAI「Devin」と、変更の確認(レビュー)に使う「Claude Code」。
  • 使い方:開発チームの1つが、2025年5月から試験運用を始め、作業をDevinに任せ、増えた変更の確認をClaude Codeで手伝わせる体制を作りました。
  • 成果:チーム全体の開発の速さ(ベロシティ)は、Devinを使う前の約1.7倍(平均)になりました(実績。1つのチームの例)。
  • 公表ページ:DMM Developers Blog(2025年10月)

Gemcook:大阪の開発会社が、Claude Codeを全社で使い始める

  • 使ったもの:GitHub Copilot、Devin を経て、2026年2月に Claude Code を全社で導入。
  • 使い方:大阪のWeb・アプリ開発の会社が、プログラムを書くAIを段階的に試し、全社で使う道具を選びました。
  • 成果:体感で、開発のコードの6〜7割をAIに任せられるようになった、としています。生産性への効果は「まだ数値化できていない」と書いています(実績。体感の値)。
  • 公表ページ:Gemcook Tech Blog(2026年3月)

ここがポイント:効果を数字にできていないことも、そのまま書いています。導入したばかりの段階では、まず「任せられる割合」の体感から始まり、測り方を後で決めることもあります。

AIに言葉で指示してプログラムやツールを作る進め方は、バイブコーディングとはで説明しています。

データ分析の生成AI活用事例

Nint:ネット通販のデータ分析を言葉で頼めるようにし、分析の時間を最大80%節約

  • 使ったもの:Amazon Bedrock の生成AI(エージェントの機能)。
  • 使い方:ネット通販のモールのデータを分析するサービスに、言葉で頼むと、生成AIが必要な作業を進め、分析結果やグラフを示す機能「Nint AI」を付けました。
  • 成果:慣れた人が分析するときでも、欲しい結果を得るまでの時間を最大80%節約できるようになりました(実績)。
  • 公表ページ:AWSの事例紹介(2025年6月)

AIエージェントの生成AI活用事例

AIエージェントとは、目的を伝えると、生成AIが調べる・考える・道具を使うといった複数の手順を自分で進める仕組みのことです。

生成AIのチャットとの違いや、任せてよい仕事の見分け方は、AIエージェントとはで説明しています。

GMOインターネットグループ:AIエージェントを業務で使う人が71.4%に

  • 使ったもの:Claude などの生成AIとAIエージェント。
  • 使い方:グループ全体で業務に使い、2026年3月に社内調査で使い方と効果を測りました。
  • 成果:AIエージェントを業務で使っている割合は71.4%で、前回より28.4ポイント増えました。生成AI全体では、グループで月約35.2万時間、1人あたり約53.9時間の削減としています(実績。社内アンケートの自己申告の集計で、時間は生成AI全体の数字)。
  • 公表ページ:GMOインターネットグループの発表(2026年4月)

REFLAME:人材紹介の求人探しをAIエージェントで行い、工数を67%減らす

  • 使ったもの:Salesforce の AIエージェント「Agentforce」と、社内のデータを参照する仕組み。
  • 使い方:大阪の、従業員30名の人材紹介の会社が、求人と求職者の組み合わせを探したり、新人のキャリアアドバイザーに助言したりするのに、AIエージェントを使っています。
  • 成果:キャリアアドバイザーの求人を探す工数が67%減り、面談が決まる割合は従来の10%から最大20%になりました(実績)。
  • 公表ページ:Salesforceの導入事例

プログラム・データ分析を自分で試すときの頼み方の型

表の集計を頼む型

「次の売上の表(列:日付・商品・数量・金額)を、商品ごとに月別の合計にまとめてください。計算の手順も示してください。」

生成AIの計算は、間違えることがあります。合計の1つか2つを、表計算ソフトで自分でも計算して照らし合わせます。お客さまの名前など個人の情報が入った表は、入力する前に名前の列を消します。

小さなプログラムを頼む型

「表計算ソフトで、A列のメールアドレスの重複を探して、B列に『重複』と表示する方法を教えてください。関数を使う方法で、手順を初心者向けに説明してください。」

出てきた手順は、本番のファイルではなく写しで試します。仕事のシステムに組み込むプログラムは、動作とセキュリティを人が確かめてから使います。

生成AI活用事例から分かる共通点と注意点

ここまでの事例を並べると、うまくいっている使い方には共通点があります。あわせて、よくある誤解と、始める前に知っておきたい注意点をまとめます。

この記事の33件を、作業の種類と成果の種類で数えると

この記事で紹介した33件を、節(作業の種類)と、成果の種類で数えました。筆者が発表の書き方から分けたものです。

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作業の種類(この記事の節)件数実績(成果の数字あり)見込み・試算実証(試験・実験)効果の数字の公表なし
文章・要約・翻訳8件5件1件2件0件
社内検索・問い合わせ対応10件4件0件4件2件
企画・画像・動画9件5件0件1件3件
プログラミング・データ分析・AIエージェント6件6件0件0件0件
合計33件20件1件7件5件

数えてみると、次のことが分かります。

  • 成果の数字がある「実績」は33件中20件。ただし、そのうち6件(当別町・日立情報通信エンジニアリング・アドバン・TIS・Gemcook・GMOインターネットグループ)は、アンケートや担当者の実感による数字です
  • 住民やお客さまに直接答える使い方(チャットボット・駅の案内)は、実証の段階のものが多く、社内で使う文章・要約は本番の実績が多い
  • 画像・動画は、実際に使われていても、効果の数字を公表していない発表が目立ちます

事例で使われた生成AIの4つの形と、向いている場合

33件で使われた生成AIは、大きく4つの形に分けられます。どれを選ぶかで、始める早さ・費用・扱える情報が変わります。

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形この記事の例向いている場合気をつけること
市販のチャット型(企業向けプランを含む)MIXI(ChatGPT Enterprise)、日立情報通信エンジニアリング(ChatGPTをもとにした社内向けサービス)文章・要約・アイデア出しを、多くの社員ですぐ始めたい入力した内容の扱い(学習に使われるか)をプランで確かめる
仕事の道具に組み込まれた型TIS(GitHub Copilot)、アドバン(Photoshop などのFirefly)、日立情報通信エンジニアリング(Microsoft 365 Copilot)ふだん使っているソフトの中で使いたい使う道具の契約とライセンスの条件
業界・自治体向けの型都城市・志木市(自治体AI zevo)、岩倉市の中学校(Education Chat)、かんぽ生命(exaBase ロープレ)業界特有の環境や使い方に合わせたい提供会社の支援の範囲と、ほかの道具とのつながり
自社で組み立てる型損保ジャパン(おしそんLLM)、フォスター電機(FaiS)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC-GAI)社内の資料を読み込ませたい、社内の仕組みとつなげたい作る費用と、作った後に直し続ける人手

小さな会社や個人は、1つ目か2つ目の形から始めるのが一般的です。社内の資料をまとめて探したいなど、市販の形で足りないことがはっきりしてから、3つ目・4つ目を考えると、目的のはっきりしないまま費用をかけることを避けられます。

うまくいった生成AI活用事例に共通する3つの条件

条件①:生成AIに任せる作業を、1つに絞っている

議事録、退院時の書類、字幕の翻訳、社内のITの質問など、成果が出ている事例の多くは、任せる作業がはっきりしています。「生成AIで何かできないか」ではなく、「この作業の、この部分を任せる」と決めてから始めています。

条件②:人が確かめる手順を残している

藤田医科大学病院では医師が下書きを直し、三井住友フィナンシャルグループの社内検索は参照元の資料を示します。生成AIの答えを、人が確かめられる形にしていることが共通しています。

条件③:使い方を広げる人と場がある

日立情報通信エンジニアリングの勉強会や、DeNAの資料の手直しのように、使い始めた後に工夫を共有したり、仕組みを直し続けたりする人と場があります。入れただけで終わらせていません。

事例から逆算した、生成AIの活用を小さく始める5つの手順

この記事の事例の進め方を並べると、次の順番になっています。

  1. 任せる作業を1つ選ぶ:議事録、問い合わせの回答案、社内の質問など、回数が多く、形の決まった作業から選びます。白書で効果を感じた企業が多かったのも「議事録・メール作成補助」でした
  2. 今の時間を測る:1件に何分かかっているか、月に何件あるかを記録します。フォスター電機や当別町のように、前と後を比べられると効果がはっきりします
  3. 入力のルールと使う環境を決める:個人情報や社外秘を入れてよいか、どのサービスをどの設定で使うかを決めます。都城市のように、扱う情報に合わせて動く場所を選ぶ例もあります
  4. 少人数で試して、課題も記録する:春日井市やOsaka Metroのように、試験の段階で「うまくいかなかったこと」も集めます
  5. 使い方を共有して広げる:うまくいった頼み方を社内で共有します。DeNAのように、答えの元になる資料を直し続けることも含まれます

生成AI活用のよくある誤解

誤解①:「生成AIは大企業だけのもの」

この記事でも、町や市、学校、病院の事例を紹介しました。市販の生成AIは少ない人数からでも使え、文章の下書きや要約のように、特別な準備なしで試せる使い方もあります。一方で、社内の大量の資料を探す仕組みなどは、準備と費用がかかります。

誤解②:「入れれば、すぐに大きな効果が出る」

発表の中には、実証や見込みの数字も多くあります。DeNAのように、正答率を上げるまでに手直しを重ねた例もあります。効果の数字を見るときは、実績か見込みかと、何と比べた数字かを確かめてください。

誤解③:「生成AIの答えは正しい」

生成AIは、もっともらしい間違い(ハルシネーション)を出すことがあります。事例の多くが「下書き」「回答案」として使い、人が確かめてから使っているのはこのためです。

生成AIを使う前に知っておきたい注意点:個人情報・著作権・間違い

  • 個人情報:個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(令和5年6月)を出しています。会社が個人データを含む指示を生成AIに入力する場合には、そのサービスの提供会社が個人データを機械学習に使わないことなどを、十分に確かめるよう求めています。お客さまの名前や連絡先は、ルールを決めるまで入力しないのが安全です。
  • 著作権:文化庁のAIと著作権に関する考え方(概要)(令和6年4月)では、生成AIで作った画像などを公開したり販売したりする場合、通常の著作権侵害と同じ基準で判断される、と整理しています。既存の作品に似せる指示は避け、公開する前に似たものがないかを見ます。
  • 間違い:数字・日付・固有名詞・法律や制度の説明は、元の資料で確かめます。医療・お金・法律など、人生に大きくかかわる判断に使うときは、専門家に確認してください。

生成AIの活用を始める前のチェックリスト

  • 生成AIに任せる作業を1つに決めた(例:議事録の要約)
  • 今その作業にかかっている時間を測った
  • 入力してはいけない情報(個人情報・社外秘)を決めた
  • 使うサービスで、入力した内容が学習に使われるかの設定を確かめた
  • 生成AIの出力を、誰がどう確かめるかを決めた
  • 画像や文章を外に出すときに、著作権と利用規約を確かめる手順を決めた
  • 試した結果(時間・質・困ったこと)を記録して、続けるかを判断する日を決めた

生成AIの活用事例についてよくある質問

生成AIの活用事例で、いちばん多い使い方は何ですか?

総務省の令和8年版 情報通信白書(2026年7月公表)では、日本の企業で活用がいちばん多い業務は「議事録・メール作成補助」で、約7割の企業が使っていました。次に「営業・販売」「社内ヘルプデスク」が続きます。

小さな会社や個人でも、生成AIを活用できますか?

できます。文章の下書き、会議の要約、翻訳、アイデア出しは、市販の生成AIのサービスで試せます。社内の資料をまとめて探せる仕組みや、お客さま向けのチャットボットは、準備と費用がかかるため、小さな作業で効果を確かめてから考えるのが一般的です。

無料の生成AIでも、事例と同じことができますか?

文章の下書きや要約などは、無料のプランでも試せることが多いです。ただし、無料のプランは使える回数や機能に制限があり、入力した内容の扱い(学習に使われるか)もプランで違います。仕事の情報を入れる前に、各サービスの公式の説明で条件を確かめてください。

生成AIの活用で失敗しやすいのは、どんなときですか?

任せる作業が決まっていないとき、出力をそのまま使ってしまうとき、使い方を共有する場がないとき、が典型です。この記事の事例でも、正答率を上げるまで資料の手直しを続けた例や、課題を公表しながら実験を続けている例があります。

生成AIで作った文章や画像を、仕事で使っても大丈夫ですか?

使うこと自体は多くの事例で行われています。ただし、既存の作品に似ている画像や文章は著作権の問題になることがあり、文化庁は通常の著作権侵害と同じ基準で判断されると整理しています。外に出す前に、似たものがないかと、使うサービスの利用規約を確かめてください。

生成AIに任せないほうがよい作業はありますか?

最終的な判断そのものは、人が行うのが基本です。たとえば、採用や人事の評価、医療の診断、お金の貸し借りの審査、契約の最終判断などです。この記事の事例でも、生成AIは下書き・回答案・練習相手として使われ、決めるのは人でした。個人情報を多く扱う作業も、入力のルールと使う環境が決まるまでは任せないほうが安全です。

生成AIの活用事例は、どこで探せますか?

会社の発表(ニュースリリース)、総務省の自治体向けの事例集、生成AIのサービス会社の導入事例ページで探せます。情報通信白書のような公的な資料には、業務の種類ごとの事例がまとめて載っています。成果の数字を使うときは、元の発表で「実績か見込みか」を確かめてください。

まとめ:生成AIの活用事例から、自分の作業を1つ選んで試す

  • 生成AIの活用事例は、文章の下書き、要約・議事録、翻訳、社内の文書検索、問い合わせ対応、企画、画像・動画、プログラムなど「作る・まとめる・探して答える」作業に集中している
  • 日本の企業で活用がいちばん多いのは「議事録・メール作成補助」(約7割)。まずはここから始める会社が多い
  • 成果が出ている事例は、任せる作業を1つに絞り、人が確かめる手順を残し、使い方を広げる場を持っている
  • 公表の数字には実績・見込み・実証が混ざっている。比べるときは、何と比べた数字かを確かめる
  • 個人情報・著作権・間違いの3つは、始める前にルールを決めておく

読む人ごとの次の一歩の例です。

  • まず個人で試したい人:この記事の「頼み方の型」を1つ選び、自分の文章や会議のメモで試す。出力と元の材料を照らし合わせる
  • 会社や部署で広げたい人:チェックリストで任せる作業と入力のルールを決め、今の作業時間を測ってから、少人数で1か月ほど試す
  • 自治体・学校・病院の人:総務省や文部科学省の事例集で、同じ種類の団体の例と、使った環境(行政専用のネットワークなど)を確かめる

さらに理解を深めるときは、次の点を確かめてみてください。

  • 使いたいサービスで、入力した内容が学習に使われるか、どの環境で動くか
  • 事例の成果が、実績・見込み・実証のどれで、何と比べた数字か
  • 自分の業界や職種で、公的な資料に載っている事例やガイドライン
小玉 健太
WebLeben代表|島根の中小企業向け AI導入・業務効率化支援
島根県松江市を拠点に、中小企業・小規模事業者のAI導入支援、業務効率化ツールの開発、AI研修、Web集客の支援を行っています。もとは日本料理店の料理人。2018年に独立し、これまでに40以上のSEO集客Webメディアサイトに携わってきました。しまね産業振興財団 よろず支援拠点 IT専門コーディネーター、しまねソフト研究開発センター(ITOC)デジタル化推進アドバイザー、邑南町しごとづくりセンター IT支援コーディネーター(2022年〜)。生成AIパスポート(GUGA)取得。相談対応は年間50事業者以上、専門家派遣は年間約12件。

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記事の作り方と、生成AIの使用について

ウェブレーベンの記事は、代表 小玉健太が企画・構成し、公開の判断と最終責任を負っています。2026年3月以降に公開した記事では、下書きの作成に生成AI(ChatGPT・Claude・Gemini)を使用しています。それ以前の記事では使用していません。

  • AIに任せた範囲:構成案の候補出し、下書きの作成、表現の整理、アイキャッチ画像の作成
  • 人が行った範囲:企画の決定、支援現場での経験・自社データの提供、事実確認、公開の判断と最終責任
  • 使っている理由:下書きにかかる時間を短くし、その分を取材と事実確認に充てるためです

記載している数値・固有名詞・制度は、公式資料で確認しています。誤りにお気づきの際はお問い合わせからご指摘ください。

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